来訪三ヶ月後3.





三試合目は半兵衛対元就の智将対決。


…よく当たるなここは。因縁でもあるのか?

まあ、ともかくその二人だ。データ重視の戦略対決は、お互いに相手の出方をよく知っているだけに、その実力は伯仲している。
それに智が際立つとはいえ武将は武将。スピードと反射神経もなかなかのもので、見ごたえのある勝負内容になっていた。


…当然、試合時間も短くない。

本当に、よく飽きないな。
繰り返すが、暇つぶしにはもってこいだが、今回のような事には全く向いていないと言いたい。

本気でそろそろ夕飯の支度でもし始めようかと思ってしまう。

寄せ来る眠気に負けそうになる意識を引き上げ、なんとかまぎらわそうと声を出した。

『この後は小太郎が二人の内の勝った方とやるんだよな?』

俺の近くに座ってじっと勝負を見つめている小太郎。奇数の為一つだけあったシード枠を、確か小太郎がとっていたと思う。

「ふうまはうんがよかったよなあー」

ひざに乗った元親が首を反らしてきた。ぺたりと後ろ頭を俺の胸の辺りにつけながら、不満げに下から見上げてくる。

「まけおしみはみっともねーぜ!もとちか」

それを受けたのは、横でがっちり腕にくっついている政宗。こっちは対照的ににやにやと笑っていた。

『悪いな。遅くても、ひと月は待たせねえからよ』

最後になると初めの一人と三週間も差が出来てしまうから、結構長いよな。

「ま、さいごだけはゆきむらできまりだろーけどな」

まぜるように銀髪を撫でていると、横から政宗が軽く断定する。

「ったりめぇよ!あいつにまけるほどおひとよしじゃねぇぞ、おれは!」

「あいつのしのびもluckyだったよな。ふうまとたいしてかわんねーよ」

「いえてるぜ。あ、おまえつぎあいつだったな。ぜってーまけんじゃねぇぞ!!」

「Han?だれにいってやがる。とうぜんだろ」

俺を挟んで言い合う二人は気が合うらしい。よくこうして話をしているところに巻き込まれることがある。

「ちょうしこいてまけたら、しょうちしねぇからな」

「オレがまけるわけねーよ。なぁ、だいすけもそうおもうだろ?」

仲がいいと思って少しぼんやりしていたから、突然振られて正直まいった。
政宗が強いのはさっきの熱戦でわかったが、佐助の実力は今一つわからない。

それにここで政宗の肩を持つと多分、後々佐助が文句を言いそうだ。

『…佐助も同じことを思っているんじゃないか?』

「オレはだいすけにそうおもってほしいんだよ」

…わがまま君主め。わざとやっているのはわかっているのだが、それでもしがみつかれればうっかり肯定してしまいそうだ。

だが、さっきから佐助の意識がこっちに向かってるのを、間違いなくわかって言ってるな。

俺はどっちも応援してるんだが…、それじゃ納得しなそうだ。

『とりあえず、俺がまず頑張るよ』

三日に一人じゃなくて、二日に一人くらいは戻せるようにさ。

そうしたら負けてもそれ程気にならないだろうと言えば、不満そうに口を尖らせる。

欲しい言葉と違うのだろう。
離れたところでは佐助のほっと息を吐く音が聞こえた。


苦しい誤魔化ではあったが、俺の気持ちを汲んでとりあえず政宗も乗ってくれるようだから良しとしよう。

こういう時は、普段より強く、中身が大人でよかったと痛感するな。




(ひまでヒマで暇なのです)





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