来訪三ヶ月後2.





少しばかり自分を見失っていた二人が落ち着いた頃には、既に全員がリビングに揃っていた。

『…そういうわけで、体を戻す術が完成した』

説明らしい説明はしていないが、となりの小十郎を見れば一目瞭然だろうと思う。

『それで全員を一度に戻すことは無理だから、皆の方で順番を決めてほしいんだが…』

そう言った瞬間、複数の手が上がる。

「オレだ!とうぜんだろ?」

「それがしもぜひもどりたいでござる!!」

「いや〜おれさまだってゆずれないなー」

相変わらずこの三人は出足がはやい。すかさず立ち上がってにらみ合いまではじめる押しの強さだ。

とはいえ、他のメンバーが戻る順番を譲ったかと言うとそんなことはなく。

「あほうどもめ。そんないきおいでつめよれば、だいすけはまたむりをするに決まっているではないか」

「そうだぜ。だいすけがこまらねぇようなきめかたをしなくちゃいけねぇよ」

瀬戸内二人に一蹴され、三人もはっとしたように振り返る。

「じゃあなにできめるのさ?」

「やっぱりしあいか?」

「それはたしかに分かりやすいけど、さすがにどうじょうがこわれてしまうよ」

「しょうぎでよいではないか」

「げ!そいつはかんべんしてくれよ…」

なかなか結論が出ないままわいわいと皆が話し合う中、急に幸村が立ち上がって叫んだ。

「このゆきむら、めいあんをおもいついたでござる!!」



















…で、なぜこうなる?

目の前には真剣な表情で対峙する元親と政宗。そしてそれをじっと見つめる残りのメンバー。

「「さいっしょはグー!」」

お決まりの掛け声から始まったのは…

「あっちむいてほい!!」

いや…ジャンケン止まりでいいだろ。どうしてあっちむいてほいなんだ?
確かに彼らの中で流行っているのは知っていたが、まさかここまでとは。

先程の幸村の提案はこれのことで、満場一致の支持を得たのだ。
そこから今に至るまでは、それこそあっという間だった。少し外れて聞いていた小太郎が決定と同時きに消え、すぐさまくじ引きとトーナメント表を手に戻ってくれば、後はもう流れ作業のようなものだ。

…だからくじで順番を決めれば早いと思うのだが。

ちなみに今の元親と政宗は二回戦目で、一回戦は幸村対佐助だったのだが、既に幸村は瞬殺されている。
実は、言い出した幸村は大変この遊びが苦手で、勝てた試しがないのだ。(ジャンケンだけなら強いのだが…)
なぜわざわざ自分から言い出したのか、といえば。

「ダンナってなにごともしゅぎょうだとおもってるからさ」

気になってこっそり佐助に聞けば、そう返された。

『そいつは…まあ、いい事だかな…』

「アハー。だよねー」

損な性格でもあるよな。
ちらりと見やった当の本人は、少し前に座って、十分以上もガチンコ勝負を続けている二人を真剣に応援している。

『…本人がいいなら、いいか』

「そーそー。それがダンナらしさだしさ」

基本は美点だしな。
というか、むしろ全てわかっていて手加減してやらない部下の方がどうかと思うが。

「それとこれとははなしがべつなの!いくらダンナでもこんかいだけはゆずれないよ」

『…幸村も手加減されるのは嫌いそうだしな』


…なんて、たわいもない会話をすることおよそ十五分。
ようやく二つ目の勝負に決着がついた。
力づくで勝ちをもぎ取ったのは

「YES!!!これがじつりょくのさだぜ!!」

「しまったっ!!やっちまったあぁ〜!!!」

腕を突き上げる政宗と倒れ込む元親。まさに明暗だ。

それにしても熱い戦いだった。これがまだ二回戦目だと考えると、決勝戦なんてどうなるというのか…。 メンツによるのか?


余談だが、

皆武将だけあって目がいい。
そのせいで徐々にゲームの速度が上がり、最後の方は俺には追いきれないような速さになっていたことがやや、不気味だった。




(論点のすりかえが行われました)





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