来訪直後1.
なんとも言えない色をした煙は、見ているだけでも気分が良くない。ソファのあるここまでは漂って来ないことだけが救いだが。
「いってーんだよ!!ふむなって!」
「…う、ごけない…で、ござる…」
「だれだ!オレのせなかをけるんじゃねぇ!!」
徐々に煙が消えはじめると、なぜかその中の声も活気づく。子どものようだが、ちらちら見える服の色がなんだかやけに目に痛い。
しかもどうやら動きを制限する呪のせいで数人まとめて団子状になってしまっているようだ。ジタバタと動くのは一部分だけで一向に解ける気配もない。
『…俊基』
「はいはい。ほどくのね」
一つ肩をすくめると俊基はすぐに動き出す。特殊な異変に身構えていただけに少々出鼻を挫かれたが、これはこれで対処しなくてはならない。
それに、放っておくといつまでも絡まったままでいそうだ。
「暴れんなー助けてやらねぇぞー」
「!!」
「きさま、何ものぞ?!」
呪を解いた途端、更に抵抗は激しくなる。その状態で今更警戒されてもな。
『解いてやるから大人しくしてろ』
絡まった服や体を外してやりながら、その重さにうんざりした。どう考えてもこれは鎧の類だろう。
なんだか面倒に拍車がかかってきている気がしてならない。
隣で手を動かしている俊基も、既にうんざりといった顔をしていた。
(予想外の皆さま)
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