続・可愛かった後輩【佐助】
好きだとと言われて一週間。
答えを返さず二週間。
結局あの時言いそびれた言葉はあれっきり出るタイミングを失って俺の喉につかえたまま。あの時は大混乱してああ思ったものの、告白されたらとりあえず付き合ってみるのはやっぱりあくまでも女の子限定。流されて即断しなかった自分グッジョブ。流石は俺様。でも相手はあの大輔か…なんだか勿体ない気もしないでもない……なんてのは完全なる気の迷いだから頑張ってよマジで!いくら見た目よく性格よくて女子に人気な相手でも大輔は男。どう見ても男。男以外の何ものでもないから!!むしろ悔しいけど俺が勝ってるのは学年くらいで身長体重筋肉量とどれ一つ取っても勝負にならないくらい「男」な外見だから。
なんて自分の精神を疑いつつ堂々巡りに過ぎていった14日間。いい加減悩んで迷って照れて焦って、ようやく落ち着いてきた俺を狙いすましたみたいに
「明日暇ですか」
だとさ。
部活用のスパイクを一緒に選んでくれないかなんて、なんて真面目な後輩だろう嫌んなっちゃうよね全くよ。確かに俺も買いたいもんがあったからとりあえずOKしたけどこれって絶対向こうからしたらデートってやつだろ?だって告白した相手と買い物行くとかそれ以外のなんだってのさ。ついいつものノリで行くってったけどなんかだんだん後悔してきた。そりゃ今までだって相手はいたし、何度もしてきたことなのになーなんでか今回だけは不思議とそわそわして落ち着かないんだよねー…。
なんて、ぐるぐる考えてる間に気づけば待ち合わせ時刻の10分前。…ヤバい。遅刻するわこりゃ。
「大輔!」
着くなりごめんと開口一番謝った。猛ダッシュしたもののやっぱり10分遅刻したし。
「大丈夫ですよ」
だよね。じゃなくて、ごめんね。
そのまま滞りなく買い物スタート。順調にほしい物を買って選ぶ途中はお互い相談したり検討したり比較したり。当たり前だがまるっきり普通に仲の良い先輩と後輩の買い物風景だよね。まぁそんな色っぽい雰囲気を出されても困るけど。悩んだ分だけ拍子抜けっちゃあ拍子抜けだがむしろこれは素晴らしい見当違いだ。流石大輔、がっつかない。
買い物して軽く飯食って帰るいつもの光景。旦那や独眼竜のいるときと全く変わらない商店街からの一本道。そこにあるお互いの最後の最後の別れ道で、横の相手に向けてじゃあなと上げた片手。それが下がりきる前に。
「また誘いますから」
「へ?」
「何度でも。先輩が悩まなくなるまで誘いますから」
だからあんまり身構えないでくださいと、笑ったらしい顔は逆光でよく見えなかったが。
「また明日、学校で」
機械的に頷いて踵を返して歩き出し自分万歳。一瞬頭が真っ白になったことなんてバレてない…はず。
見送られた時のあの瞬間、ほっとした上にどこか奥の方がキュンとした気がするなんてうん…嘘だろ?自分。
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