溺愛MAX【政宗】





苦しくなった気がして目を覚ます。


目を開けたと思ったんだが。


『………?』


いつまでも視界が暗いのだ。

漸く視界が塞がれている事に気付いたが、そこまでで起きてから約3秒。
自分の呑気さに驚きながら顔の上から座布団を退かす。

否、

退かそうとした。

強くはないが抑え付けられているようで、払っただけでは動かせない。

殺すつもりはないらしいし、犯人は俺の上に座っているようだ。

そうなれば、こんなことをするのは一人だけ。

『……政宗』

綿の下から呼んでみる。くぐもって、聞こえるかどうかは微妙なところだが。

「…good morning、大輔」

幸いにも伝わったたらしい声のおかげで、やっと座布団が外された。


見えたのは、声の通り不満そうな政宗の膨れっ面だったが。

今度は何がお気に召さなかったのやら。

『政宗?』


「昼寝する暇があるならオレをかまえ」


むくれたまま見下ろして、しっかり俺を睨みつけている。

偉そうに、なんて可愛らしいことを言うのかこの君主殿は。

『…政務は?』

「休憩中だ」

どうせ自主休憩だろう。しばらくしたら小十郎の怒鳴り声が聞こえはじめるに決まっている。
毎日それではあまりに気の毒すぎるだろうと、仕方なく俺の方で昼寝を諦めた。

腹に乗った政宗が倒れないように支えつつ、ゆっくりと自分の上半身を起こす。太股辺りに移動した政宗の方でも手を伸ばしてくるから、まるで抱き合っているようだ。


まぁ、抱き合っているのだろうが。

『政務が終わったらかまってやる』

「………」

目を合わせながら言い聞かせるように話す。少しだけ和らいだ表情に安心した。

『You see?』

まだ少し尖ったままの唇に軽くキス。
なだめるようにもう一度。

『政務中は側で見ててやるから』

「…I see.」

やっと返された了承に満足する。
ねだられて再度軽く口付けると、そのままぎゅうと抱きつかれた。

「大輔が言ったんだからな?すげぇ期待するぜ?」

くっついたままで目線だけちらりと上げてくる。俺の好きな顔を全く良く知っているものだ。

『内容と時間にもよるがな』

「All right!約束したからな!」

一度、更に強くしがみついてから離れる。

それでも政宗は満面の笑みで俺の上に乗ったままだ。





…本当にいちいち手間の掛かる。



だがそれすら愛しく思えてしまう俺は、本格的にまいっているとしか言いようがないんだがな。


抱え直して立ち上がれば、政宗も手足を絡めて落ちまいとしてくる。


部屋まで運べと言う事だろう。

「I love you.Darling!」

『…それくらいは母国語で言えよ honey.』

顎にキスを受けながら、頭の端の不安に気付く。


このままでは、いずれは政務中まで抱えていろと言い出すのも、時間の問題かも知れないから。

























(本当の問題はそれを断らない俺の方にあるのだろうが…な)





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