打ってかわって
2010/04/25 16:30
正しい字は面倒で調べてないわけですが(おい)、そんなことから語源は野球なのかなぁと見当違いっぽいことを考えている草鞋です。
今までこの携帯の変換候補に何度騙されたことか…笑
まぁそれはともかく。…なんかだんだん口癖みたいになってきましたが。
なんだか携帯まで覚えたらしく、「まぁ」まで打つと「それはともかく」を候補に出してくるくらいです。
携帯で打ってると自分の口癖が勝手に浮き彫りにされますね。いらんことを…
まぁそれはともかく(またつかっちゃったよ)、以下はやっぱりこれまでの流れとはまったく関係のない小話です。
今回は主人公たちだけのいつも以上に自己満極まりない語りなんで、基本はスルーがおすすめです。
* * * * *
二泊三日の思いがけない旅行の帰り。
はしゃぎ疲れた佐助達は、どうやら後部座席で寝ているらしい。さっきまで聞こえていた話し声も今ではパタリと聞こえなくなった。
「まるで子供のままだな」
この二人は、と後ろを覗いて笑うのは当然、残った面子である孟隻。交代で運転をしている為に、行きとかわらずこのおかしな相手が助手席にいる。
普段隣に座っている佐助と比べると随分大きさが違うから、なんとなく違和感が拭いきれない。
勿論、孟隻が運転している間は俺が助手席にいる訳だから、同じように思われているのだろうが。
「あんたも寝たけりゃ寝てて良いぞ」
この後はもう交代はないし、どうせ帰る所は同じマンションだ。送る道が分からないなんてこともない。
「まぁそう、つれないことを言うな。たまにはゆっくり話そうじゃないか」
面白そうな相手と思っていたのだと、面白そうな相手が言う。
そう言われてみれば佐助や政宗抜きで話すなんてことは、これまで一度もなかったかもしれない。なら確かにたまにはこんな機会があっても良いのかもな。
そう思って他愛ない話を暫く続けていたのだが。
「大輔から見て、政宗は今幸せそうか?」
テンポよく進んでいた会話の中、ほとんどあってないような間の後に孟隻が突然そう言った。
それまでと殆ど変わらない調子で言うものだから、一瞬聞き間違いかとも思ったが、ちらりと目を向けて見た表情はいつもの読めない笑顔ではなく。
「…あんたが俺にそれを聞くのか?」
「私は自分の判断に自信がある。自分の目を信じているからな」
淡々と当たり前のように言い切る。勿論そんなことは、俺から見ていても明らかだ。
だからこそ、さっきの問いが信じられないわけで。
「だが、…色恋沙汰に関してだけは、相手を不幸にした経験しかないからな」
客観的な意見が聞きたいのだと、ほんの少し何かが欠けた声で言う。
「大輔になら、私の代わりに判断を任せても良い」
もしもさっきまでの会話がそれを見極める為のものだったというなら、なんとも計画的なもんだ。
それだけ真剣なのかとも思ったが、たとえいつもの笑顔でなくとも、孟隻の表情は読めなかった。
「…それはまた、随分と買ってもらえたみたいだがな…」
本当に俺で良いのかと聞けば、また当然のように肯定する。
「恋愛以外の事ならば、私は私の判断を全面的に信じている」
いっそ清々しいほど傲慢だが、この相手は確かにそれだけの良い決断をするからわざわざ否定する気にもならない。
まったく恵まれた目をしているね。
「ならまぁ、余計な心配と思っていいぞ」
「そうか?」
「俺から見れば、政宗は十分幸せそうだ。無理に隠してるような部分もないだろ」
むしろ、相当素直にそれを出していると思うくらいにな。
「そうか」
それならば安心したと言って、ふうと軽く息を吐く。
孟隻は思った以上に慎重な性格なのだとこっそり認識を改めてしまった。
「タラシなお前が言うなら間違いないな」
「待て。なんだそれは」
「政宗が大輔は間違いなくプロだと言っていたぞ」
澄まして笑っている相手はさっきまでとはうって変わっていつもの通りに戻っている。
ったく…やっぱり可愛くはねぇ相手だぜこの人は。政宗は趣味が良いんだか悪いんだかわからねぇな。
「あんたの政宗泣かせていいか」
「可愛く泣かすなら良いぞ」
「なっ…!?アンタ何言ってんだ!」
そう孟隻が答えた瞬間、突然後ろから政宗の叫び声が。
「あー、しゃべっちゃダメだって竜のダンナ」
「狸どもめ」
「なんだ、寝たふりだったのか?」
その後に続いた佐助の呆れたような笑い声を聞いて、実は全員起きていたのにやっと気付く。ちゃっかりしてるねこの二人も。
しかし佐助まで聞いていたとはな…迂闊な事言わなくて良かったぜ。
いや別に、後ろ暗いところはないけどよ。
まぁ…、最後は勿論政宗と孟隻のじゃれあいまがいの大騒ぎが始まって、結局何もかもうやむやになっちまったから、言っても問題はなかったかも知れないけどな。
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