中々上がらない成績に思い悩んだ夢主が魔が差してついカンニングをしてしまったら足利さんにバレて理事長室まで呼び出されて色々諦めかけたら実は夢主が好きだからと身体の関係を持ちかけられる話


くらり。
目の前が真っ暗になる。倒れそうになるが、なんとか持ちこたえた。
「どうかな。悪くない取引だと思うがね」
なんでもないとでと言うように、理事長は言う。悪くない?どこが悪くないのだろうか。今、彼はカンニングを帳消しにする代わりに、私と肉体関係を持とうと言ったのだ。
「や、や、です」
唯一出たのは、そんな稚拙な言葉だった。いくら成績のためとはいえ、そんなことできない。首を振って拒否すると、目の前にいる理事長は困った顔を作った。
「ではどうしたらいいのだ、朋よ。このままでは、不正を働いた朋を罰してしまい、内申に響かせてしまうぞ」
コツ、コツ、と革靴の音を立てて、私に歩み寄る。逃げたいのに、足はまるで接着剤でくっつかれたかのように、動かない。気がつけば、目を細めて穏やかに微笑む理事長が、目の前に立っていた。
「予は穏便に済ませたいと思っている。朋だって、反省しているのだろう?なら、この取引を受け入れるべきだ」
するりと、理事長の手が頬に触れた。大げさに身体を震わせると、理事長が苦笑いを漏らす。
「安心したまえ。予は朋に恋情を抱いているからこそ、こう持ちかけている」
「れん、じょう……?」
「嗚呼。愛らしい朋よ。早々に諦めてしまったら方が、賢明だと思うが?」

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テーマ「人外ファンタジー」
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