雨だから、だ
こんなに、不安に、寂しくなるのは雨が降っているからだ。

そんな根拠は何処にも無いのに、不安定の理由を朝から降り続ける雨に勝手になすりつけた(ごめんよ雨さん)

とりあえず不安で、寂しくて、どこにそんな要素があるのか自分でもわからず途方に暮れて、部屋の壁にくっついて体育座りして、顔を埋めたり、上げたり。

そんな事してるうちに部屋の戸が開いた。

「…キノコ生えんぞ」

相変わらずのゆるい声が、隣の部屋から入ってきたかと思えばよいしょなんて声を付けて私の横に座る。
顔を埋めて、生えないよ、と一言呟く。面白みも糞もあったもんじゃない返答だなと言った後に思った(銀ちゃんごめんね)


「じめじめしてんなァ」

「…雨、だ、もん」

ザァっと外の雨音がさっきよりも強く聞こえた気がした。その雨音がまた不安を駆り立てて、私は銀ちゃんの着物の裾を掴んだ。
ちゃんと、居るのに。銀ちゃん。

裾を掴んだ事に気がついたのか、銀ちゃんは何も言わずに私の手に、手のひらを重ねてくれた
銀ちゃんの体温とか、ユルさやなんか色々なエネルギーとかが手を伝わって、それはまるで雨水が砂に染み込むみたいに私に優しく染み込んでいった


(雨水染み込み涙となる)
(安心ってこういうことを言うんだと思う)

080930
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