「成長するものなんだね」

発育が良いことで、と随分久方ぶりに会う彼を私まじまじと見た。これ立場が逆だったらセクハラになるのかな、なんて呟いたらどうでもいいと一蹴された。



「まぁまぁ随分会わないうちにこんなでかくなっちゃって。ひょっとして身長越されたかも」

「確実にな。私の目線とお前の目線合っていないだろう」

「そうですね」

なんだかしゃべり方まで大人になった?と口にしようと思ったが止めた。
それは私の勘違い。きっと、声変わりしていて幼い声の彼しか私は覚えていないから、そう感じるのだ。



「今幾つになんだっけ」


「15、だ」


そうか15かと頷く。ああ、留三郎もそんな年なのか。なんだか一気に年をとった気がする。


「そっかー…もう六年生か」

そうしたら、すぐ卒業して、一人前の忍者になって、なんだかわからないが、大人になるのか。

顔つきだって男らしくなってしまって、一緒に遊んで『大人になったらごんべえと結婚する』など言っていたころとは別人みたいだ。



「大人になるんだね、留三郎」


私より年下なのに。呟いて畳に寝転がる。全部、なんだか留三郎に追い抜かれた気がした。背も、精神も、何もかも。
視界を閉ざして溜め息を吐くと、おいと留三郎が声を掛けてきた。


「…何してるの」

「…、結婚、してくれないのか」


覆い被さるなんて、何処で覚えた留三郎。
私に覆い被さる留三郎は、やっぱりまだ幼くて、純粋な気がした。


養えるようになったら、なんて現実染みた答えをだしたら彼はどんな反応をするのだろうか。



(さあ反応を見せておくれ、大人な子供)
(そんな彼にドキドキした私もまだまだ青い)



080730
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