自覚を持て、と言われた。
何の、と聞き返したら女という自覚だ、とお父さんみたいに叱られた。

自覚も何も女だよ、そう返すと何故だか呆れられた。
「…潮江文次郎と抱き合ってただろ」

恋人でもないのに何をしてるんだ、とまたもや父親みたいな事を言い出す。てか父親って。私のが年上なのに、なんか変な気分だ。

というか、抱き合うなんて大袈裟な。
あれは思わず年下を抱き締めたくなった時たまたま文次郎くんと鉢合わせになったからだ。(文次郎くんには怒られたが)
その事を説明してやるとまた反論をされた。


「だからって抱きつくな!おまえは子供か!」

「大人の余裕だ!むしろ抱きつくならきり丸くんとかのが良かったわ!」

「そうじゃなーい!!!…ああもう…大人の女なら少しはおしとやかに出来ないもんか」


「女とか男とか関係ないよ。考えたくもない」

いやだ、いやだ。
いいじゃないか、このままで。
まるで家族みたいじゃないか、ね?と付け足すと食満くんは複雑そうに私を見た。


「…関係ないのなら、」


「こうしてたって構わないよな。」







「…ごんべえが好き、だ」




食満くんの顔が見えなくなったのは、
体が温かくなったのは、
食満くんが私を抱き締めているからで、



私の顔が熱いのは、食満くんを意識してしまったから。





せっかくなら食満くんの顔みながら聞きたかったな、なんて思った私は欲張りなのか。
(私も好きだと言ってしまおうか!)

080702
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