冬なのにアイスが食べたくなって、二人で買い物に出てきた。
辺りは暗くて、空には三日月とたくさんの星が散らばっている。吐く息は白く、顔に触れる空気は冷たい。冬なんだ、としみじみと思う。

「さみーな」

「アイス買うのやめる?」

そしたら、その分あたしが食べるわ、と続けると、太るぞと言われた。人が気にしていることをこの男は。

「うっせーやい」

「本当の事だろが」

「修兵のばか野郎。」

知らん、と言わんばかりにあたしは早歩きで修兵の前を歩いた。

「はいはい、ごんべえは太ってねーから安心しろよ」

後ろから聞こえる軽い声。
ここでに本当に?と振り向くことが出来ないあたしは無口のまま、ずんずん先を歩くことしか出来ないのだ。しかし、さすが四年も一緒に居る修兵はそんなあたしの性格を分かっていらっしゃるようで、全然動じない。ていうか、寧ろ楽しんでんじゃないのか、という時さえある。…悔しくもあるが。


「本当だって、それに俺胸ある方が好きだし…」

何よりもごんべえが好きだから太ってても構わねーよ。

な?と続けると、後ろから追い付いてきた修兵は、思わず立ち止まったあたしの頭をぽんと撫でてから、あたしを追い越した。

顔が熱くなった。いや、顔だけじゃない、体も一気に熱くなった。

「…し、死ねばいいのに…」

そして、その恥ずかしさ故に出た言葉がコレって。最悪な女だな、おい。

しかし、修兵は歩みを止めて振り返ると、お前も道連れな?とにやりと笑った。

修兵と死ねるなら本望と思ったけど、やっぱり私の性格上口には出せなくて。気が付いたらどんどん先を歩いて行く修兵に、走って追い付くと、ばーか、とだけ言い放って再び早足で修兵を追い越した。
すると、またもや後ろからはいはい、と軽い声。

これが、この先も続いていけば良いのかな、と思った。だけど、次の冬にはもっと素直になれるように頑張ります、と心の中で後ろで笑っているであろう修兵に誓ったのでした。


repeat?

(最終目標は面と向かって愛してる)

110118
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