「ねぇ晋助」 午前八時の朝食の席。 私が作った朝食を私の家でゆっくりと食べてる私と高杉晋助。 恋仲である。 幕府に追われてる身の晋助が一般人である私と外で其処らの恋人同士みたいに散歩とかする事はまず難しく(捕まったら後が面倒)、必然的に高杉がテロを起こさない(または計画しない)限りは私の家でのんびり過ごす事が多い。 多いのであるが。 ふと昨日の事を思い出して晋助に声を掛けたのだ。 「んァ?」 晋助は何時ものように少し気だるそうにしながらも箸を止めた。 だけど、私は止めない。 箸を動かしたまま話を続ける。 「昨日の夕方、女の人と一緒に歩いてたね」 綺麗な人だったけど、幾つ?と訪ねたらお前より上。と答えてまた箸を動かした。 何時もの事であるから私は至って動揺はしないし、そして何より、晋助が浮気なんぞしない事はよくわかっている。 浮気するくらいなら私なんかと恋仲になったりしないだろうし。 「この前の人も私より年上だったよね。年上好きなの?」 「たまたまだ」 それに晋助は私を抱こうとはしない。 それも最初の方こそ心配だったけど、私の友人でもある銀ちゃんに相談したとこ 『あぁ、高杉ねェ。アイツ変なとこに臆病だからなァ。きっとオメー抱くのが怖ェンだろ。安心しろ、オメーに魅力が無い訳じゃねェから。』 それがアイツなりの優しさなんだよ と言ってくれた。 それが他の女の人を抱く理由になるかは人それぞれであるのし、またそれ以前に晋助がその女の人と寝てるのかすら私は知らない。知らなくてもいいと思っている。 抱き締める時は何時もの晋助からは想像出来ないような優しい目をして、優しく抱き締めて、優しく接吻してくれる。 其れだけで私は愛されてると実感するのだ。 それに、女の人と居るのは幾度も見ているが同じ女の人と会ったのは見たことない。 必ず違う女の人。 それも彼なりの気遣いなのか、私がたまたまなのか。 すべての真相はわからないけど、彼が発してくれる『好き』や『愛してる』の言葉を信じてみようと思う。 けれども。 やっぱり、好きな人には抱かれたい。 そんな女心も無きにしもあらず。 私は箸を止めないで晋助に話し掛けた。 「…晋助」 「今度はどうした」 「たまには私を抱いてよね。私は高杉以外の男に抱かれるの、嫌だから」 ぴたりと高杉の箸が止まった。 ちらりと高杉の方を見たら、耳が赤くなっていたが見なかった事にしてあげようと思う。 近い未来、貴方の愛に抱かれる事を願いながら。 end. 071115 |