(拍手お礼夢/学パロひさぎ先生)





やれクリスマスだ、恋人だ、冬休みだ。

そういった単語を並べて浮かれるクラスメイト達を傍目にもくもくと参考書と格闘した私、17歳乙女。

クリスマス?恋人?冬休み?

正直、何を言っているんだと思ってます。



「おーっ、やっぱここに居たか」

浮かれたクラスメイト達が帰った放課後の教室で、いつもながらに勉強をしていると数学の檜佐木先生がやって来た。

そして私の机の前にやってくると、お前今日クリスマスだぞ?と言われた。


「だから何ですか。私達の本業は学生じゃないですか」

学生が勉学に励むのは可笑しいですか、と尋ね返したらいや、まあ…とはぐらかすように、頭を掻きながら机にひょいと腰掛けた。行儀が悪いな。


「学生なら勉学に励むべきであり、それ以外のことは勉学の妨げになるなら慎むべきだと常々思ってますが」

「…お前いくつよ…」


私がはっきりと言うと、先生はげんなりとした顔をした。これじゃ私が先生で、檜佐木先生が生徒みたいだ。



「17ですよ、ピチピチの」

「何処がピチピチだよ。まるで教頭とかと話してるみてぇだ」


まあ、そういわれても仕方ないかもしれない。
私だって、自分がちょっと頭の堅い人間だって理解してる。

「でもなぁ、もうちっと楽に考えていいんじゃねぇの?」

机の上から腰を下ろすと、目の前に居た私と向き合う。さっきまで私より少し高いくらいの背丈だったのが、床に立つと一気に高くなり私が顔をあげて話すようになってしまった。

「…楽にって、そんな…それにこの生き方だって後悔は…」

「してない?本当にか」

じっと、目を食い入るように見られ、少し恥ずかしくなり目を逸らした。

「だって…今さら…」

「それじゃ、俺が変えてやろうか?」

びっくりして先生の顔を思わず見てしまった。先生の顔は真面目で、何を言ってるのか私にはよくわからなくなってきた。


「えっ、あ、あの…?」

私が慌ててると、先生の顔はにこやかになった。そして、安心だ。と一言を口にして、教室の扉を開けた。一体なんなんだ、この教師は。

「その表情(かお)、好きな奴の前するんだ、そうすればお前は変われっから」


それだけを言い残して先生は教室を去っていった。
先生が居なくなった教室には私だけが取り残された。

顔は熱いし、胸はドキドキと鼓動をあげている。

一体どうしたと言うのだ。こんなこと、初めてだ。

さっきの先生の言葉と顔が浮かんでは消し、浮かんでは消しの繰り返し。


「…こりゃやばいな。」


先生、私変われる気がしてきました。




(俺が、変えてやりたい)
(あなたで、変わりたい)

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