(学パロ どうしたらそんなへらへらしていられるのか そう彼女は不満げな顔で俺に問い掛けた。 …いやうそだ。 それは問い掛けたとかいう優しい感じではなくて、ただ不満をぶつけたと言ってもいい。 「卒業、しちゃうんだよ?」 「俺らが卒業するわけじゃありやせんし」 「土方先輩とか!卒業しちゃうのにいいの、あんな仲良かったのに」 卒業のたった二文字を強調させて言うが、こいつは馬鹿なのか。 俺とアイツがどうしたら仲が良いなんて見えるのだろう。 「あー…サミシイネィ」 「全然心こもってないし」 棒読みでごんべえが納得するはずもなく、あんたに寂しいとかの感情求めたのが馬鹿だった、とまだ肌寒い暗い帰り道、溜め息を吐いた。 「あー土方先輩に会えなくなるのかー…」 続いて、俺に対する溜め息とは明らかに違う溜め息を吐く。 目は遠くを見ているようで、土方さんを想っていることがよくわかった。わかりたくないけど。 俺は知ってンでさァ、 あんたが不満なのは、俺がへらへらしていることじゃなくて、土方さんが卒業しちまうことだって。 そうやってあんたが土方土方っていうから、俺は土方さんの卒業を寂しがることなんか出来ないし、寧ろ土方さんに卒業してもらわなきゃ困るんで。 その土方さんに向けている目を、土方さんを想う目を、どうか、俺に向けてくれ。 …なんて、言うつもりはないけど。 「…寧ろ嬉しい、みたいな」 すると彼女は、ありえない!とまるで自分のことのように怒って、だいたいね〜と眉をつり上げていかに土方さんが居ないと俺が寂しくなるかを語ってきた。 それでもまだ土方さんの話だが、土方さんに恋い焦がれる溜め息を吐かれているよりマシだ。 あー。こんな振り向かせ方しか出来ないのは土方さんのせいでさァ。 いくらごんべえが土方さんの居ない寂しさを語ってきてもやっぱり俺的には寂しがれないし、何より土方さんに卒業してもらえて嬉しいわけで、 「…早く土方消えてくンねェかなァ…」 「人の話を聞いてんのかァァァァァア!!!!!」 素直な俺の気持ちは、彼女をまた怒らせた。 けど、まあ今は良いやねィ。 土方、卒業したら見てろ。 絶対にこいつを振り向かせてやりまさァ。 あからさまに怒りを露にする彼女の隣で、とりあえずは明日の卒業式で泣くこいつを慰めるところから始めよう、と小さく決意した。 卒業式前夜の、 (明日が友達からの卒業になればいい) (なんてな) ※前サイト拍手 修正・加筆 101227 |