遅めの夕飯も食べ終って、片づけも済んで一息ついた午後10時半。
1時間後にはごんべえの帰宅時間が迫っていながらも、二人は各々好きな体制で寛ぎながら同じバラエティ番組を見てた。

「…ねー…、修兵。」

ごんべえは俺のベッドにいつも通り寝ころび、ベッドに寄りかかって床に座る恋人の名前を気だるそうに呼んだ。
修兵はあまり気にも留めず、テレビに正面を向けたまま、ん、と口で返事をした。

「…ごめん、今晩泊らせて」

付き合ってから時は経つが、ごんべえが部屋に泊まることはそう多くは無かった。しかもごんべえ自ら泊まると言い出したことは今までに一度もなかった。
なのに、今日はどうしたもんか。様子を見ようと、腰を持ち上げてそれまで寄りかかっていたベッドに振り返る。ベッドの上にはごんべえがうつぶせに横たわっていた。
その横に腰を下ろすと、うつぶせのまま顔をあげないごんべえの頭を、まるで泣き寝いりした子供を心配する親のように撫でた。

「どうした、急に」

「嫌なら無理強いしない」

「ごんべえが泊まンのは大歓迎だけど、…体調悪ぃか?」

「ううん…、ただ」

「?」

「今日はずっと、修兵と居たい気分なだけ」

うつぶせていた顔をゆっくりとあげて、小さく笑いながら修兵を見た。こうしてるの落ち着く。と修兵がマットレスに付いていた手に自分の手を重ねながら。
ずっと自分と居たい、なんて言われて嬉しくくも照れ臭かったが、それでもやはり嬉しい気持ちが上回って、そうかと笑い返した。

「じゃ今晩はこのまま寝ような」

重ねられた手に応えるように握りしめた。
ごんべえもまたその手を握り返して、嬉しそうに目を瞑る。

手の温もりが心地よくて、このままくっついてしまえばいいのにと思いながら。


end
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