全てを覆う闇の大海原に、ひとつ、ふたつと輝く光
軈て銀河のような大いなる川を作り上げた小さな点、無数の星
それらは闇夜を淡く照らし、道標をたてる


そんな有象無象の数え切れない星のような人混みの中から、たった一つ、みつけた
億千万、未曾有の中からみつけたたった一つの星
手にして、やっと気づいた大切な人


君は僕の大切な人


隣にいて、会話をして、笑いあって
簡単なことでも幸せだなんて思える
同じ時を共有出来ただけで、僕は満たされる
陰った心が照される
浄化されてく

淀んだ何かで満たされていた器が昇華した
霧散したそれは何処かへ消えてしまって
代わりに、受け入れることができる、新しい器を手にいれた


世間体から与えられる澱みのような感情も
理不尽な現実も、辛辣な言葉も我慢できる

例え、そんなリアリティーに放り投げられたとしたって
這いつくばりながらも生きていける勇気をくれる

そうしてやっと生きていく為の小さな小さな一歩を踏み出せる


もしも君が傷付いたなら代わりに、同じだけ傷付こう
君と同じだけの痛みと苦しみを分かち合って、呼吸をする

僕が持つもの、君が手放したもの
君が拾い上げて、僕がなくしたもの
お互いに違うものを得て、日々捨て置く


君の心の叫びを受け取る度に、守りたいだなんて自己満足を得る
それでも、ありがとうと笑う君に、僕は存在する意味を貰った

与えられてばかりの僕なのに、君は変わらず傍に居てくれる
消えないでくれる

君は逃げずに、僕の叫びを聞いてはやって来た
息を切らして、肩を揺らして、苦しそうな顔をする
分かち合った痛みが君にも届いて、苦しかったね、と泣いた

僕の代わりに泣いてくれる君が堪らなく愛しい
ならば、そんな君の代わりに、僕は笑おう
君にも笑顔を分けてあげよう

冷たい君の手のひらと、僕の手のひらを合わせて、その歪さに吹き出す


あのね
君との沈黙は怖くないんだよ
不思議だよね


何を思って、何を考えているのかまでは分からないけれど
会わせあった手のひらから伝わる体温が融け合って一つになれる

離れてしまったら、その手の熱は君だけのもので満たされるけど
また繋げば良い


温めて、受け取るよ


君の痛みと苦しみを、冷たさと一緒に溶かして温めよう


だからもう一度、手を繋ごう





   P
urgation






end.
12/04/28



[]



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