D
※暗、若干グロ
「僕は悪くない。」
「彼は白虎の兵隊さんだもん」
「それに、ほら、もう記憶にもないじゃん」
ジャックは次々と言葉を並べ立てては、ぐずぐずになった鼻を啜った。
手にもった刀は、視線の先に転がる人だったものを突き刺したまま。
血は地面を濡らし、朱を広げ、ジャックの靴を汚した。
「僕は、悪くない」
「戦争なんだよ」
「殺さなきゃ、殺さなきゃ僕が、皆が殺されちゃうもん」
「だから、」
殺さなきゃ。
いっぱい、殺して、皆の敵を消さなくちゃ。
ガタガタと震える手が柄を掴み、力任せに刀を引っ張った。
地面にも食い込んでいたのか、抜けた矢先に大きくバランスを崩して尻餅をつく。
磨き抜かれた銀の中に、どす黒い汚れた血がこびりついていた。
Dead
end.
2012'03'29
[栞]