目標がウインターカップでの日本一に切り替わってから、2週間後。

この2週間の療養中、部活に見学にも来なかった火神が漸く体育館に現れた。

それと同時に、誠凛バスケ部エース、また創設者でもある彼も、それは久しぶりに姿を現したのだった。


「ウィース。さあ、練習しようぜ」


───何故かユニフォームで。


「鉄平のユニフォーム姿久しぶりだね」


例の如く遥だけは呑気に感想を口にしていたが、残りの面々からは絶句が返ってきた。

一体何故、彼はユニフォーム姿なのか。


「え〜と…久しぶりだな、木吉…」

「オウ!」

「いやなんでユニフォームだよオマエ!?」

「ひさしぶりの練習でテンション上がっちまってよ」

「やる気あんのか?あんのか!」


おそらくやる気がありすぎた結果なのだろうが、相変わらずの木吉のボケっぷりに、日向のツッコミが忙しい。

数度彼のツッコミが光った後、渋々注意された通り練習着に着替えた木吉は、初対面の1年を前に自己紹介を始めた。


「去年の夏からちょっとワケあって入院しててさ。手術とリハビリで今まで休んでたんだ。木吉鉄平、193cm81kg。ポジションはセンター。よろしくな」

「鉄平!もう大丈夫なのね?」


嬉々として訊ねるカントクに、木吉はさも当然と言わんばかりに頷いてみせた。

その顔は生き生きとしている。


「ああ!もう完璧治ったよ。ブランクはあるけどな。でも入院中何もしてなかったわけじゃねぇよ」

「何か学んだのか?」

「ああ。花札をな」




間。




「だから!?」

「面白いぜ」

「バスケ関係ねぇじゃん!!」

「あー、あとこれだけは言っとかねえとな。まあ創部した時から言ってたことなんだが、なけなしの高校生活3年間を懸けるんだからな、やるからには本気だ。目標はもちろん…どこだ!」









「は?」

「いやI・Hの開催地ってどこだっけ?」

「毎年変わるしもう負けたわ!!今目指してんのはWCだろ!」

「そうか!じゃあWCは今年はどこだ?」

「WCは毎年同じだよ!!」


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