「誠凛メンバーチェンジです」


アナウンスと共にコートへ戻るのは、勿論先程指名を受けた黒子だ。


「…わりぃ。オレ一人じゃ想像以上にしんどい…わ」

「すいません。イミが分からないんですけど」

「あ!?」

「最初から一緒に戦うつもりだったじゃないですか。そんな簡単に勝てたら苦労はないです」

「っせーな」


学年は違えどあの帝光バスケ部を知っている遥から見ても、火神と黒子のコンビはいいコンビだった。

試合で十分戦力になる実力を持っているし、相性も申し分ない。

それが青峰が相手というだけで、こうも心揺さぶられることになろうとは。


「行くぞ!」

「オウ…来いよ!」


開始早々、黒子のパスがコートを突き抜ける。


「なんだあのパス…!!……けど青峰も!!速い!!!」

「知ってるよ。追いついてくるんだろ?」


火神の言う通り、あの青峰はこれぐらいでは振り切れない。

それを承知で誠凛エースは、攻撃せず日向へパスを出した。


「どうした火神ー?ずいぶんとナイスパスじゃねーか!」

「決めてくださーい、主将ー!!」

「順ちゃんやっちゃってー!」


好位置、好パス、好シュート。

彼のシュートで誠凛は後半初得点獲得だ。

当然ベンチも盛り上がる。


「つか祈ってんじゃねーぞ1年!オレが撃つ時は称える準備だけしとけや…!」


クラッチタイムに入っている日向にビビりながらも、遥は今のシュートを思い返していた。

練習の成果が感じられる綺麗なシュートは、主将の彼らしいものであると同時にかなり高戦力である。

これで調子を掴んだのか、桐皇7番からのリスタートはあっさり黒子がパスカット。

絶好のチャンスを逃すことなく、水戸部によりすぐさま追加点。

影の薄さが戻った黒子の活躍でスティールは増えるし、シュートチャンスも格段に増えている。


「相変わらずだな、テツ…。中学の時とホント変わってねーわ、全然…」


黒子の『中学の時を知る』青峰からの冷たい視線、冷たい声に、第三者であるはずの遥の胸も締め付けられていた。

時が止まってしまったのは、いつからだろう?


「…マジ、ガッカリだわ。まだそれで勝つつもりかよ?オレに」

「……そのつもりです。これがボクのバスケです」


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