予選トーナメント終了後、実力テストも無事終え…誠凛高校バスケ部は練習を再開した。
「誠凛───ファイ!!」
「オオ!!!」
誠凛の練習はとにかく基礎を重視している。
フットワーク、シュート練、パス練、ひたすら基本の動きを反復。
それに費やす時間・密度は強豪と呼ばれる高校と遜色ない。
「黒子寝んなぁ!!」
当然キツい。
「テツヤ、吐くなら先に言ってね」
「…………、はい」
その分全体のコンビネーション練習、実戦練習はやや少ない。
したがって、ここでも難易度の高い練習はほとんどせず、基本に終始する。
だがボールは色々なものを使う。
扱いづらいボールで動きを制限して、応用力を養う。
通常のバスケットボールより大きい物・小さい物、極端な時はテニスボールを使ったりもする。
最後にミニゲームをして、ミーティングで終了。
ここから各自個人練習となる。
強制ではないが、必然レギュラーほどその時間は長い。
ちなみにマネージャーである遥も、仕事はほとんどないものの、よっぽどの用事がない限り最後まで付き添い続けている。
そして今日もいつも通り、主将は勿論カントクも他のレギュラーたちも個人練習のために居残りだ。
「あ!火神ィ、練習禁止っつったろーが!!」
「や、見てたらがまんできなくて」
「秀徳戦で痛めた足、まだ治ってねーんだろ」
「大丈夫だよっす。もう全然…っつ」
「ほら見ろバカ」
秀徳戦でかなり無茶をした火神は、今日の練習も見学状態だった。
皆のプレー姿を前にお預けを食らっていたのだから、我慢出来ないという気持ちも分からなくはない。
だが、それとこれとはまた別問題である。
すぐさま湿布を差し出した遥だったが、それが後輩の手に渡る前にカントクの拳骨が飛んできた。
「休めって言われても練習するのは真面目とは言わないのよ」
「いてっ!!」
「こーゆうのは繰り返すとクセになるからやめなさい!」
「お願いだから安静にしててね」
カントクの言うことはもっともだと頷きながら、遥は今度こそ湿布を手渡した。
どれほど効くのかは定かではないが、何もないよりはマシであろう。
「幸い今年は大会側の都合で決勝リーグまで2週間あるわ。今週一杯は休養にあてるコト!明日土曜日は来なくていいわ」
むしろこれで良い方向へ向かわないようなら、病院で本格的な治療が必要になってくるだろう。
決勝リーグまで後8日、いろんな意味で気が抜けない時期だ。
「あと日向君!遥も!あとでメール回すけど、明日ウチ休館になったからいつものやつ時間のばすわよっ」
途端に嫌な顔をした日向に苦笑しながら、遥は首を縦に振ってみせた。
「うん、了解です」
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