I・H予選トーナメントAブロック最終日、準決勝、北の王者・正邦高校。

古武術を取り入れた堅固なDFに苦しめられるも、底力を見せる2年生の活躍によって勝利。

決勝、東の王者・秀徳高校。

『キセキの世代』緑間の3Pに圧倒されるが、覚醒した火神と黒子の力で逆転勝利。

東京都三大王者と呼ばれる強豪達と1日2試合の死闘を制し、見事予選トーナメントAブロック優勝。

ついにI・H出場をかけた最後の闘い、決勝リーグにまでコマを進めた誠凛高校であった。

…だが──波乱は突然やってきた。


「…あれ?俊、今日何日だっけ?」

「15日だけど…どした?いきなり」

「ってことは、明後日からだよね?実力テスト」


学生にとって、勉学は義務とも言える必要不可欠なものである。

バスケに一心に打ち込むカントクとマネージャーを含むバスケ部の面々は言わずもがな学生、部活を理由に勉強を怠るわけにはいかない。

そんな彼ら彼女らの目の前に、小さくも大きな山場が迫っていた。

その名の通り、知識の定着が鍵となるイベント───実力テストである。









「確かに実力テストは成績には関係ないわ!けど…ウチの学校は一学年約300人、その順位がはっきり出るのよ」


前回の中間テスト片手に体育館にやってきた1年生を出迎え、カントクは言った。


「そして下位100名は来週土曜に補習。これが問題なんだよ」


続いて伊月が補足してやれば、ルーキーたちは事の重大さを理解したようだ。


「え…、…あ!土曜日…って決勝リーグ!?」

「そ。だからテスト悪ーと試合行けねーの」


成績には反映されないこのテストは、部活動を左右する恐ろしい実力テストなのである。


「つーわけで!中間の結果で危ないと判断したら、今夜からカントクん家で勉強合宿だ」

「勉強だからね?言っとくけど…補習で試合に出れんかもしれんバカに、ウフフな展開なんぞあると思うなよ」


天使と悪魔の顔を見せるカントクの隣で、遥は穏やかに微笑むだけだった。

文武両道、勉強にも部活にも全力で挑むこのスタンスは、まさに『青春』と言えるのではないだろうか。


「じゃあ、順番にテスト見せに来てくれる?」


遥の声でテストチェックが始まった。

大部分の1年生たちは勉強は苦手な方ではないらしく、問題はなさそうである。

───が。


「あと残るのは…」

「はい」

「うす」


何より重要なのは、黒子と火神の2人だ。


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