「第1Q終わりです。インターバル2分入ります」
第1Q終了間際に決まった、日向と緑間両SGの得点により、スコアは14対21で一区切りとなった。
最後に放たれたのは同じ3Pシュートだったにも関わらず、誠凛が受けたダメージの方が明らかに大きい。
相手はあの『キセキの世代』の1人、緑間真太郎。
彼がトドメとばかりに見せつけてくれたのは、自陣ゴール下からの全範囲シュートだったのだ。
「黒子君…あれ…昔から?」
「いえ…僕の知ってる彼の距離はハーフラインまでです。あんな所から打てるのは初めて知りました」
ベンチへ戻ってきた黒子とカントクの会話を聞き流しながら、伏し目がちで黙り込んでいる遥。
マネージャーとして働く傍らで、見えない何かが稲妻形に切り刻まれていく。
「とにかく緑間君を止めるわよ!黒子君!しんどいかもだけど、もう少しヨロシク!………って、遥?」
「…あ、何?」
「いや『何?』じゃなくて…どーしたの?顔色悪いけど」
取り繕うように、遥が『なんでもない』と首を横に振ってみせたところで、試合再開のアナウンスが流れた。
「インターバル終了です」
コートへ戻ろうとする仲間たちを見送りながら、遥はその1人の背に声を投げかける。
「……テツヤ」
「はい」
普段と何ら変わらぬ表情で振り返り、先輩の言葉を待つ黒子。
無垢な双眸に射抜かれた遥は、戸惑い躊躇った。
自分は彼に何を伝え、どうしようというのか───。
「……ごめん、なんでもない。いってらっしゃい」
言い淀む遥に不思議そうに瞳を瞬かせた黒子だったが、素直に頷くとコートへと歩んでいく。
「…………………」
黒い靄を胸に抱えたまま、第2Qが始まった。
ボールを手にした緑間の前に立ちはだかるのは、かつてのチームメイトである黒子だ。
開始早々意外な展開、誰がどう見てもこれは『ミスマッチ』である。
「…フン。その程度の奇策でひるむと思うか」
緑間がいとも簡単に黒子を躱し抜いた。
勿論、誠凛メンバーからすればこの展開は想定内、狙いはこの後なのである。
その一瞬のために素早く影が動く───
「オイオ〜イ、後ろからとかヤボなことしなさんない」
が、しかし、突如現れた秀徳PG・高尾が影を封じてみせた。
「高尾君のスクリーン!?」
「ダメだ、黒子が引き剥がされた!?」
海常戦で見せた、黄瀬を出し抜いたあのバックチップはこれで不可能である。
すかさず火神が緑間を迎え撃つ。
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