「ここからしばらく黒子君は温存しなきゃならないわ。攻撃力が落ちる中盤の間、いかに点差を縮めさせないか」


第1Qで十分明らかだったが、黒子のパスは誠凛OFへの貢献度が非常に高い。

その彼が戦線離脱するとなれば、追加点に過度の期待は出来なくなってしまう。


「実は客観的に見れば、お父さん以外の4人に脅威になるような選手はいないわ。この試合はとどのつまり…」


簡単な話、こちらが今までのように点を取れなくなっても、相手にも点を取らさなければいいのだ。

そして幸いなことに、注意人物は1人しかいない。


「これから黒子君が戻るまでの間、火神君がお父さん相手にどこまでふんばれるか。それに尽きるわ!」


仕掛ける側も仕掛けられる側もダメージの大きいDFで、火神が粘れるかどうかが勝敗を決めるといっても過言ではないだろう。

遥は、カントクの話を熱心に聞いている火神を盗み見た。

多少の疲労は見て取れるが、宣戦布告もしていたようであるし、体力も気力も有り余っていそうだ。


「あの高さに対抗できる可能性があるのはキミだけなのよ!」

「まかせろ!っスよ!」


火神から返ってきたのは頼もしい返事。

残る問題は新協の───特に『お父さん』のモチベーションだ。

15点ビハインドなのだから当然と言えば当然ではあるが、此処から見ても監督に搾られているのが分かる。


「…………」


そうしているうちに、第2Q開始となった。

定位置に腰掛けた遥は、コートを見つめ僅かに目を細める。


「う…おっ」

「おお、ナイシュー!!」


開始早々、『お父さん』のシュートが決まった。

心なしか先程より高いようである。


「モう本気!!負けなイ!!」


そう火神に言ってのけた『お父さん』だったが、相手が強ければ強い程、また相手にやる気があればある程燃えるのが、誠凛ルーキー・火神大我だ。


「ハッ、そうこなくちゃな。テンション上がるぜお父さん!」


とは言うものの、やはり『お父さん』を防ぎきるのは難しい。

新協学園12対誠凛24。

誠凛OF、主将・日向がシュートを撃ったが、明らかに短い。


「リバウンド!」


遥はすぐさま声を上げた。


「…コの!!」


ゴール下で『お父さん』と競り合っていた火神がボールを追い、リバウンドを制する。

そしてそのままシュート。

誠凛追加点だ。


「オッケ、ナイシュ!!」

「ナイスリバン!!」


今回の火神の活躍は目覚ましい。

身体的特徴から考えても、彼がいなければ太刀打ち出来ていなかっただろう。


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