体格に恵まれた2人と、いつの間にかコートにいた真面目な1人対5人。

馬鹿にされ怒りを隠しきれない5人には悪いが、この前者3人は『普通』という枠に収まらない才能を持つメンバーである。


「遥センパイ、荷物お願いしますっス。あ、何なら一緒にやるっスか?」


制服の上着を脱ぎながら言う黄瀬に、遥は緩く頭を振ってみせた。


「多分私が入っても大丈夫だろうけど…この3人のチームプレイはレアだと思うし、じっくり見せてもらうね」


火神、黒子、そして黄瀬という異色の3人かつ才能ある3人が同じチームにいる試合など、そうそう見れるものではない。

遥は荷物管理を引き受けると、コート脇へと移動した。

ここなら彼らのプレイを存分に楽しむことが出来るだろう。


「試合開始!」


始まってしまえば、もう相手チームの姿は視界に入らなかった。

試合で片を付けようと提案していたところから考えて、5人もそれなりにバスケに精通しているようだが、高さ、速さ、パワー、特性など、あらゆる面で3人に適うはずがなかったのだ。

勿論結果は瞬殺。

遥を含む4人は早々にコートから退場し───火神による説教の時間となった。


「オマエは!何を考えてんだ!!あのままケンカとかになったら勝てるつもりだったのかよ!?」

「いや、100%ボコボコにされてました」

「テメッ…」


腕を曲げて力こぶを見せている黒子ではあるが、細身な彼の腕にそれらしきものは見当たらない。

黄瀬と遥も乾いた笑いを漏らしている。


「黒子っちってたまにすごいよねー」

「ごめんね、火神くん。テツヤがああいうの許せないタイプって知ってるし、私も見過ごせなかったから、つい」


止めるどころか仕掛ける気でいた自分にも責任があると、火神を見上げ謝罪を口にする遥。

一瞬たじろいだ様子を見せ、火神は目線を逸らした。


「ついって…センパイもセンパイっすよ…」

「それでもあの人達はヒドイと思いました。だから言っただけです」


火神の矛先が遥に変わりかけるも、元凶である黒子がまた反論したために、彼への説教が続けられることとなる。


「だからその先を考えろ!」

「…忘れてました」


繰り返される説教と反論に、とうとう会話から弾き出された黄瀬と遥は、自然と顔を見合わせた。

そして2人揃って破顔。


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