「んじゃま…」
リコをはじめ、遥の瞳に映るのは、やる気十分、負かす気十分な顔付きの誠凛メンバー。
「第2Q始めます」
第2Q開始の合図と共に、カントクはコートへ向かう部員たちの背中に言い放った。
「逆襲よろしく!」
応援の声にも熱がこもる。
遥も積極的に口を開いた。
「行けー押せー行け押せ誠凛!」
ボールは誠凛PGからだ。
彼のパスは、黄瀬とマッチアップしている火神に通る。
ドライブで抜くのかと思いきや、彼の手を離れたボールは黄瀬の横、いつの間にか待機していた黒子経由で再度火神へと返された。
そのまま走り去り、黄瀬を振り切った彼のゴールで誠凛は2点先取。
「っし!!」
「オッケ、ナイッシュー」
再びボールは火神へ。
先程と同様に、マークにつく黄瀬の近くに控えていた黒子経由で、今度は4番・日向へとボールは渡る。
「あっ!!?」
誠凛主将の3Pは綺麗にネットを潜っていった。
「来たぁ3P───!!」
「3点差!!」
想像以上に上手く縮まる点差に、遥も立ち上がらん勢いだ。
「順ちゃんナイス!」
「オマエだけはそう言ってくれるって信じてた!」
シュートを決めた日向に声をかけると、彼は地獄で仏に会ったような表情で返す。
どうやら、遥たちがボールを追って喜んでいる間に何かあったらしい。
「このままいってくれれば…」
苦しげな雰囲気を纏う海常陣に目を走らせ、遥は独りごちた。
日向のシュートのおかげで3点差、誠凛としてはこのまま引き離したいところだ。
別々のパターンだった黒子のパスと火神の1対1が繋がった今、攻撃力は各段に上がっている。
攻撃パターンに選択肢も増え、海常はやりにくさを痛感していることだろう。
更にその要となる黒子は、海常エース・黄瀬にとっての弱点であり天敵。
付け焼き刃の連係は未だぎこちないが、これで振り切ることが出来なければ、誠凛には次の手がない。
「黒子っち…」
黄瀬の表情に、悔しさからか焦りが見え始めた。
「…黄瀬君は強いです。ボクはおろか火神君でも歯が立たない」
相手の力を見据えた上で黒子は告げる。
「…けど、力を合わせれば…2人でなら戦える」
自身が尊敬する黒子のその言葉に、黄瀬は何を感じているのだろうか。
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