「112対55で桐皇学園の勝ち!!礼!!」
「ありがとうございました!!」
喜びを露にする桐皇とは対照的に、誠凛には最低限の会話と重苦しい空気しかない。
誠凛は負けた。
彼に勝てなかった。
彼に寄り添うことが出来なかった。
温もりを感じない青の眼差しが、冷淡に走り去る姿が瞼の裏から離れない。
凍てつく彼を救うのは目が眩む程眩しい光と、濃く色を残す影しか有り得ないはずだった。
後悔や寂寥、様々な思いが交差するも、誠凛の試合はこれで終わりではない。
桐皇はまだ1試合目なのだ。
インターハイの舞台への道が、消えたわけではないのである。
だが、しかし。
崩壊の足音は少しずつ忍び寄ってきていた。
彼らにも、そして彼女にも。
*
残り2日、彼らは全力で取り組んだ。
しかし頼みの綱である火神がベンチ、選手たちの心身に残る疲労故の不協和音、そして6人目黒子の不調。
満身創痍で最後まで戦うも、対鳴成高校───惜敗。
続いて全てを懸けて挑んだ最終戦、対泉真館高校───王者相手に太刀打ち出来ず敗北。
誠凛高校のインターハイへの挑戦は終わった───。
「帝光でも誠凛でも、結局こうなっちゃうんだね」
───だが全てが終わったわけではない。
終わるということは同時に始まりを意味する。
───つまり。
「頑張ってるつもり、なんだけど、やっぱり…」
新しい挑戦へ───。
「…私はここにいるべきじゃないのかもしれない」
END
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