I・H予選トーナメントAブロック最終日、準決勝、北の王者・正邦高校。
古武術を取り入れた堅固なDFに苦しめられるも、底力を見せる2年生の活躍によって勝利。
決勝、東の王者・秀徳高校。
『キセキの世代』緑間の3Pに圧倒されるが、覚醒した火神と黒子の力で逆転勝利。
東京都三大王者と呼ばれる強豪達と1日2試合の死闘を制し、見事予選トーナメントAブロック優勝。
ついにI・H出場をかけた最後の闘い、決勝リーグにまでコマを進めた誠凛高校であった。
…だが──波乱は突然やってきた。
「…あれ?俊、今日何日だっけ?」
「15日だけど…どした?いきなり」
「ってことは、明後日からだよね?実力テスト」
学生にとって、勉学は義務とも言える必要不可欠なものである。
バスケに一心に打ち込むカントクとマネージャーを含むバスケ部の面々は言わずもがな学生、部活を理由に勉強を怠るわけにはいかない。
そんな彼ら彼女らの目の前に、小さくも大きな山場が迫っていた。
その名の通り、知識の定着が鍵となるイベント───実力テストである。
*
「確かに実力テストは成績には関係ないわ!けど…ウチの学校は一学年約300人、その順位がはっきり出るのよ」
前回の中間テスト片手に体育館にやってきた1年生を出迎え、カントクは言った。
「そして下位100名は来週土曜に補習。これが問題なんだよ」
続いて伊月が補足してやれば、ルーキーたちは事の重大さを理解したようだ。
「え…、…あ!土曜日…って決勝リーグ!?」
「そ。だからテスト悪ーと試合行けねーの」
成績には反映されないこのテストは、部活動を左右する恐ろしい実力テストなのである。
「つーわけで!中間の結果で危ないと判断したら、今夜からカントクん家で勉強合宿だ」
「勉強だからね?言っとくけど…補習で試合に出れんかもしれんバカに、ウフフな展開なんぞあると思うなよ」
天使と悪魔の顔を見せるカントクの隣で、遥は穏やかに微笑むだけだった。
文武両道、勉強にも部活にも全力で挑むこのスタンスは、まさに『青春』と言えるのではないだろうか。
「じゃあ、順番にテスト見せに来てくれる?」
遥の声でテストチェックが始まった。
大部分の1年生たちは勉強は苦手な方ではないらしく、問題はなさそうである。
───が。
「あと残るのは…」
「はい」
「うす」
何より重要なのは、黒子と火神の2人だ。
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