だがすぐさま日向も3Pで返す。
残り20秒、この瀬戸際で外さない日向はさすが誠凛の主柱であるが、後3点足りない。
「順ちゃんナイス!もう一踏ん張り!」
「時間がない!!当たって!!」
残り18秒。
誠凛ボールは阻まれ、場外へ。
残り15秒。
誠凛スタート、逆転勝利を掴むには日向の3Pが必要なわけだが───
「!!?」
「大坪君が日向君のマーク!?」
「まあ当然だよね…」
キーマン日向の前には秀徳主将。
3Pを最優先で止めにきたのである。
「お前のことは認めている。だからこそ全力で止める!!」
「これ以上借りはいんねーんすよ」
残り13秒。
伊月が指示を出す。
残り10秒。
火神のスクリーンで大坪が剥がされる。
残り8秒。
日向が3Pラインよりはるか後方に走る。
「決めろ日向ァ!!」
素早く急角度で彼の許へ届けられたボールは、次の瞬間、綺麗な放物線を描きネットを潜り落ちていた。
「……逆転!?」
「うわああ信じらんねぇ!!残り数秒で誠凛が勝ったぁ!!」
逆転。
込み上げる喜びに咲いた遥だったが、その表情が一気に強張った。
「数秒…?」
ゲームクロックは『0:05』───まだ『5秒』もあるではないか。
「まだ終わってない──」
「勝ってねーよ、まだ!」
遥の叫びと高尾のセリフが重なった。
誠凛はまだ勝っていない。
「緑間!!?」
「なぜオレが遠くから決めることにこだわるか教えてやろう。3点だからというだけなはずがないのだよ」
日向による逆転3Pのリスタート直後のボールを手にしたのは、緑間真太郎。
彼のシュート範囲はコート全て、彼がボールを持つイコール追加点と言っても過言ではない。
その緑間に唯一対抗出来ていた誠凛ルーキー・火神は、既に体力の限界である。
誠凛にはもう、彼を止める術が───。
「バスケットにおいて僅差の接戦の時、残り数秒の逆転劇は珍しくはない…が、場合によっては苦しまぎれのシュートでそれが起きる時もある。そんなマグレをオレは許さない」
残り4秒。
「だから必ずブザービーターでとどめを刺す。それが人事を尽くすということだ」
残り3秒。
緑間がシュートモーションに入った。
END
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