翌日は生憎の雨。

日直だった遥は、日直の仕事だけでなく担任からの呼び出しも受け、部活に大幅に遅刻していた。

降りしきる大粒の雨を横目に急いで体育館に向かうと、激しい───おそらくダンクを決めたのであろう音が響く。

体育館入口で固まってしまった遥の目に飛び込んできたのは、愕然としている部員たちの中、ゴール下に佇む期待の1年・火神大我だ。

1年対2年の5対5ミニゲーム中なのであろうが、火神対その他のような雰囲気である。


「すっごいセンス…」


遥が息を飲み見守る中、火神の活躍により1年チームにまた追加点。

勢いに押されているのか、劣勢の2年生が動き始める。


「トリプルチーム…!」


遥は思わず声を上げた。

ボールを持つ火神にマークが3人ついている。

ボールを持っていなくともダブルでマークされた火神は動けず、徐々に点差は縮まり、ついに2年生がリードを奪った。


「テツヤはまだ動いてない…」


このままだと───。

遥が漸く傍観していた体育館入口から中へ踏み込み、審判をしているリコの許へ向かおうとしたとき、1年チームが騒ぎ出した。

とは言っても騒いでいるのは火神だけで、他はその火神を宥めているようである。


「ごめんリコ、また遅くなっちゃった」

「え!?」


何か考え込んでいたのか、遥が声をかけるとリコは口に銜えていたホイッスルを落とし、勢いよく振り向いた。


「…ああ、遥。日直だったんでしょ?伊月君から聞いてるわ」

「うん、プリント作りもさせられちゃって…。で、これは1年対2年の5対5…でいいんだよね?」


リコは足元に置いていたバインダーを拾い上げると遥に差し出す。


「そうよ。ロード削ったから、ちょーどいいと思って」

「タイムは?」

「あと3分よ」

「ありがと」


遥がバインダーを受け取り、書かれている内容に素早く目を通しているうちに試合は再開された。

慌てて顔を上げると、視界に入るのはボールを持つ黒子の姿。

動く───そう思った途端、遥の目の前で見えないパスが通った。


「……え、…あっ」


突如ボールが飛んできた1年部員は、慌ててシュートを放つ。

それは誰にも遮られることなくネットを潜った。


「入っ…ええ!?今どーやってパス通った!?」

「わかんねぇ見逃した!!」


驚愕し動揺しだす部員たちを眺めながら、遥はどこか楽しそうにシャープペンシルをノックする。


「ナイスパス、テツヤ」


 return 

[5/6]
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -