(微甘程度)



「テツヤ、バスケしない?」


休日、暇を持て余していた黒子にそんなお誘いがきたのは、今から30分程前。

出来る限り急いで指定場所の河川敷へ向かうと、呼び出した張本人である遥が手を上げて彼を呼んだ。


「あ、テツヤこっちこっちー」


Tシャツ短パン姿の彼女を取り囲むのは、小学校中学年程であろう子供6人。


「ごめんね、急に呼び出して」

「いえ、暇してたんで嬉しかったです。ところでこの子たちは…」


遥の周りにいる子供たちの視界に、黒子は入っていないらしい。

手にしたバスケットボールを手持ち無沙汰に弄びながら、各々喋り続けていた。


「この子たち、私の家のお隣さんの子とその友達なの。皆授業でしか経験ないから、手加減してあげてね」

「……分かりました。宜しくお願いします」









遥と黒子を含めた4on4に、ルールはあってないようなものだった。

公式のものより低めの1つのゴールを狙い、ボールを持つ者がシュートを打つ。

授業で習ったドリブルやパスは出来ても、スティールやリバウンドを奪いにいくような真似は出来ないため、競り合いにはならないのだ。

黒子は優しくボールを回してやり、遥は動きを指示して試合を進めていく。

勿論制限時間もなく、ただ体力が尽きるまで、満足するまでボールを追い掛けるだけだ。

ダンクのような花形プレイやスリーポイントもないし、そもそもシュートなんて全てがインサイドからのジャンプシュート。

勝ち負け等関係なく、無我夢中でボールを追い掛ける子供たちの顔は生き生きとしており、楽しんでいるようだ。

高校生であり、バスケ部員として普段試合に参加している身からすればお遊びの試合ではあるが、敵味方問わず、シュートが決まる度に黒子も一緒になって喜んでいた。









暫くすると遥と黒子は離脱し、小学生同士の3on3となった。

もうすっかり慣れたのか、パス回しも上手く、シュートフォームも様になってきている。

高校生2人は、少し離れた場所に揃って腰を下ろした。


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