(if設定奪っちゃったver)「…………クリームチーズも食べていいんで、チョコとミルク、もう一口ずつ欲しいっス」
「またすっぱくなるよ?」
周りの女性客が「黄瀬くんが…」と密かに騒いでいるのにも気付かず、遥は躊躇いもなくスプーンを差し出した。
この間接キスもとい傍から見たらバカップルにしか見えないやり取りは、終わる気配を見せない。
(ここで奪っちゃったーってチューでもしたら、意識してくれるんスかね)
黄瀬は自分の方へ伸ばされた遥の手首を掴むと、手前に引きながらも横へ捌けさせた。
そうして出来た開放的な空間に軽く身を乗り出し、一気に距離を詰める。
2人掛けのテーブルは大した大きさでもないし、彼は背が高い。
距離を0にするのは難しいことではなかった。
「涼太?」
不思議そうな遥に答えをやらず、薄く開いたままの唇を限界まで見つめてから塞ぐ。
「………っ…」
吸い付くように柔らかく触れ合う前も離れた後も、遥は双眸をいつもより大きくして固まってしまっていた。
「甘いっスね」
自分で仕掛けておきながら頬を染めて、黄瀬は嬉しそうに舌で己の唇を辿る。
モデルのときより質の悪い、意地悪い表情と仕草。
漸く事態を把握したのか、遥の顔がみるみるうちに赤くなっていった。
顔を隠そうと手を引くも、黄瀬に掴まれた片腕は動かない。
顔に熱は集まるばかりだし、隠したくても腕は離してもらえないしで、恥ずかしさに悶えながら必死になっている遥を見て、黄瀬は至極満足そうだ。
「ちょっと涼太っ…」
「離さないっスよ」
遥は困ったような表情のまま黄瀬を睨んだ。
「まだ食べてないし」
掴みっぱなしであった、彼のものより幾分華奢な腕を引き寄せる黄瀬。
遥の手元のスプーンを口に含んでから、彼はおとなしく腕を解放してやった。
「ごちそうさまっス、センパイ」
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