そしたらご夫婦とレジでバッタリ。

そりゃあもう仲良くかつ手際よく、精算して袋に詰めてくのよその2人。

あたしの横で。


「2人で晩ご飯の買い物?」

「うん、これから鉄平の家にご飯作りに行くの。鉄平のおじいちゃんおばあちゃんと私のおじいちゃんおばあちゃんが知り合いだから、たまにこうやって一緒に食べるんだ」

「あ、そうなんだ。2人って夫婦って言われてるぐらいだから、同棲してるのかと思った」

「夫婦か…何かいい響きだな、遥」

「鉄平と夫婦かあ…。いいお父さんになりそうだね」

「遥だっていい嫁さんになるだろうな。気立て良くて、料理も出来て、可愛いし文句ない」

「もう、そんなに褒めてもプリンは早く出来ないよ?」

「んー、いっそ嫁に来るか?」

「まだ15歳だよ」

「そうだな、高校生活は全部バスケに捧げるつもりだし結婚はそれからだな」


いやそういう話じゃないだろ。

揃って何かズレてるよアンタら。

置いてきぼりのあたしは、そのとき心中でツッコむしか出来なかった。

揃って天然なのは知ってたけど、あれはもう駄目だ。

でも最後のが一番拷問だったんだよね。


「じゃあまた明日」

「うん、バイバイ」

「気い付けてな」


袋全部木吉くんが片手で持って、もう片手は遥ちゃんの手包んでて。

分かる?想像出来る?この光景。

切なすぎて涙出そうになったわ。













旦那が欲しくなった瞬間だったよいやほんとマジで。
彼氏じゃなくて旦那がいい。
あわよくば木吉くんみたいな人がいい。
木吉くんはね、もう遥ちゃんの旦那してたらいいよ。
大好きだけど、あれ見ちゃったら無理だわ。
ん?ああ、そう言えば同じバスケ部の伊月くんは恋人って言われてるんだっけ?
イケメンだよね、彼。
旦那が木吉くんで彼氏が伊月くんとか羨ましい通り越すわ。
ま、でもあたしは断然木吉くん派。
そこは譲れないよ!


あーあ、木吉くんみたいな人落ちてないかなー。
もしくは拾って!
あたしも旦那欲しいー!




夫婦推奨派の女子生徒Aの証言


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