久しぶりの再会を果たしてからすぐ、テツヤくんから本当にデートのお誘いのメールが届いた。

いや、デートっていうとアレかもしれないけど……2人で出掛けるのに間違いはない。

楽しみすぎたのか緊張しすぎたのか、互いの予定を確認しながら約束した日は少し先の日程だったはずなのに、毎日時間が経つのが早すぎて、結局新しい服を買う余裕もないままその日を迎えることとなってしまった。

クローゼットを引っ掻き回して選んだ洋服は、派手すぎない定番な感じのワンピースではあったけど、自分の持つ服の中で最大限"可愛い"を目指した結果だ。

テツヤくんの目にどう映るのかは分からないけど、髪から靴まで出来る限りお洒落をしたつもりである。

そんな私が待ち合わせ場所である遊園地の入口に着いたとき、約束の30分も前だったせいか、テツヤくんの姿はまだ見えなかった。

30分なんてあっと言う間だろうし、遅れてごめんってなるよりは待つ方が何倍もましだ。


「おはようございます、瑞希さん。早いですね」

「!!!??」


ふと横から聞こえた声に、私は思わず飛び退いた。

さも前からそこにいました、みたいにテツヤくんが立っているではないか。

いや、テツヤくんのことだから本当に元々そこにいたんだろう。


「すいません、驚かすつもりはなかったのですが…」

「違うの、油断してた私が悪いから…」


違う意味で心臓が煩い。

そんな私の心境を知ってか知らずか、テツヤくんはふわりと微笑むと優しく手を引いてくれた。


「少し早いですけど、行きましょうか」

「…うん!」


テツヤくんのおかげで無料で入れた遊園地は、小さい頃の記憶のままとほとんど変わりはなかった。

ちょっと錆び付いたフェンスや、幼い頃は怖くて乗れなかったジェットコースター、何度も観たいとせがんだ空っぽのヒーローショーステージ。

どれを見ても懐かしいとしか言葉が出てこない。


「大して成長してないのに、何だか凄く大人になった気がする」

「大人になったんですよ、きっと」


そうだったらいいけど。

年を重ねただけで、実際大人になったという自覚は希薄だ。


「何から乗りましょうか」


此処は某リゾートとは違って、ちびっ子たちに人気のヒーローやヒロインのショー以外、派手なパレードやショーは行われていない。

従ってアトラクションを楽しむか、隣接した芝生でゆっくり微睡むかしか選択肢はないのである。

ちなみに、この芝生側にボールプールなどの所謂子供向けのエリアがあるんだけど、身長制限があって私たちは当然遊ぶことは出来ない。


「そうだね…何か乗りたいのある?」

「ボク個人としてはないですが…仕事の参考になるような物でもいいですか?」

「うん、勿論」


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