幼馴染みたちと久々の再開を果たした飲み会の翌日、私は朝からテンパりっぱなしだった。
まず1つ目、気が付いたらだだっ広い部屋にある天蓋付きのふっかふかのベッドに寝ていた。
しかも見慣れないネグリジェで。
2つ目、思わず部屋を飛び出したら見るからにメイドって感じのお姉さんが扉前で待機していた。
おはようございます瑞希様、とか言われたからいろんな意味で絶句した。
3つ目、そのメイドさんに服を着替えさせられヘアメイクも整えられ、気が付いたらダイニングテーブルに並べられた豪華そうな朝食を征ちゃんといただくことになっていた。
制服でも和服でもない征ちゃんを見るのって、もう何年ぶりなんだろうね。
4つ目、征ちゃんパパがダイニングにやってきたから、まさかの3人で朝食になった。
凄く美味しい朝ご飯だったけど、マナーが気になって仕方なかったです。
そして5つ目、征ちゃんパパとの挨拶も終わったからどうするんだろうと思ってたら───
「瑞希、今日は1日時間があるんだろう?」
「うん。仕事も休みだし、元から用事もなかったから」
「じゃあもう少し付き合ってくれないか。久しぶりに外を見て回りたいんだ」
───何故かまた、征ちゃん家の運転手付きの黒塗りの車に揺られることとなっていたのだった。
「何か買いたいものや寄りたいところがあったら、遠慮せず言ってくれ。付き合わせているのは此方だからね」
「分かった、ありがとう」
そうは言ったものの、思い付くのは冷蔵庫の中身や化粧品など、征ちゃんと買いに行くのはいろんな意味で憚られるものばかりだ。
冷蔵庫の中身はスーパー、化粧品は薬局………うん、やっぱ駄目。
「此処までで構わない」
短く告げた征ちゃんの指示通り車が停止する。
辺りを見渡せば、幅は広いものの少し奥まった住宅街の通りらしくて、この近くに何があるのか私にはさっぱり想像がつかない。
「さぁ、行こうか」
征ちゃんは自然な流れで私の手を引いて歩き出した。
慣れた様子で角を曲がり、またその先を曲がる。
これは征ちゃんがいないと帰れない、ゼッタイ。
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