君が好きで、大好きで
「アレンってちょっと完璧すぎるよね」
ある日の談話室。
わたしはコーヒー片手にソファにもたれて本を読んでいるラビに話しかける。
「そうかぁ?」
「かっこいいし、紳士だし、強いし、優しいし…誰よりもみんなのこと考えてるし…」
「名前はアレンが大好きさねー。オレのほうがかっこいいけど」
「ハッ!」
「……名前、アレンに似てきたさ」
「本当!?嬉しい!」
「…悪い意味さ」
それでも嬉しい、
なんて、にやけながらコーヒーを一口飲む。
「アレンに欠点なんてないんじゃないかな」
「大食いさ」
「そこはアレンの魅力でしょ」
「腹黒さ」
「分かってないなぁ、ラビ。それこそアレンの魅力だって」
「…恋は盲目さね」
ラビがぼそりと言ったので、なんか言った?と口をとがらせて言うと、ラビは何も言ってないさ。と笑顔で返してきた。
ラビのへらっ、とした笑顔からぷい、と顔をそむけてコーヒーを一口。
すると、そのままラビにコーヒーカップをするりととられた。
「あ、」
「アレンにも欠点はあるさ」
ラビはそう言って、ニヤリとわたしを横目で見たあと、わたしから奪ったコーヒーを飲んだ。
「どこ?」
「…例えば、」
首を傾げるわたしに、ラビはぐっ、と顔を寄せた。
ち、ちかっ!
びっくりして、体を離そうとする。
けどラビはわたしの腕を掴み、それを阻止した。
つい、体が固まる。
「…え、な、…ら、ラビ?」
「シー。ちょっと待つさ」
何かを企むように、いたずらに笑いわたしの唇に人差し指をあてるラビ。
なに、一体なんなの!?
すると、
バッターン!!!
勢いよく談話室の扉が開いた。
そこにいたのは、
「あ、アレン…」
はぁ、はぁ、と肩で息をしながら、こちらを睨むアレン。
「な、何やってんですか、君らっ」
まだ上がる息のまま、アレンは睨みながら言う。
「…え、」
あ、そうだ。
今の体勢を端的に言うと、ラビに迫られているわけで…、
「ち、違うのアレン!!」
「おわっ!」
焦ってラビを突き飛ばす。
「名前に非がないことは分かります。大方そこの万年発情兎のせいでしょう」
「ま、んねん…!失敬な!」
「僕の彼女に手ェ出すなんて、覚悟できてんでしょうねぇ?」
「い、いや!ジョークさ、ジョーク!」
「黙れ」
「(ヒィッ!この名前への惚れ込みようは十分欠点だと思うさ…)」
君が好きで、大好きで20110410
「名前大丈夫ですか!?」
「大丈夫だよ」
「二度とラビに近付いたらだめですよ?」
「う、うん!(あれだけボコボコにされたらラビのほうがわたしに近付いてこないと思うけど…)」
ティムキャンピーから名前がラビに迫られていることを聞き、任務帰りにも関わらず全力疾走してきたアレン。
名前が大好きなので名前の前では全力でかっこつけるアレン。
とにかく名前が大好きなアレン。