7 days 1/2
7日目、
ぱち、
どうやら、一日中寝ていたらしい。
時計を見ると、PM9:46
まじかい。
案の定、あたしはアレンのマンションにいた。
デカイ猫にボコボコにされたあたしを見つけて保護してくれたのはやっぱりアレンだったらしい。
またもやあたしはアレンに命を救われたのだ。
体の傷もちゃんと手当てしてある。
それで、肝心のアレンは…?
キョロキョロと部屋の中を見渡す、すると洗面所のほうから声が聞こえた。
どうやらアレンは誰かと電話してるみたいだ。
「……はい、メールきました。まったくお騒がせな、」
………絶対あたしが話題だ。
しばらく耳をすます、
すると会話の内容からひとつ分かった。
どうやら昨日の電話の相手はリナリーだったらしい。
うわ、あたし勘違い。
恥ずかしい、
…いや、けど、アレンは好きって言ってたし、
…………もしや、
アレンとリナリー付き合ってんの!?
いや、でもリナリーには年上の彼氏がいるはず。
ええええ??
「わ、分かってますよ!ちゃんと言います!自分で伝えますから!」
おわ、なんだ。
急に焦ったように大声を出すアレン。
最終的にはごめんなさい僕が悪かったですすいませんでした、と謝って電話を切った。
アレン、リナリーに一体何をしたんだろうか……
ふぅ、と一息ついてアレンはこっちに戻ってきた。
アレンと目が合う、
すると、アレンは心底ほっとしたような顔をした。
「目、覚めたんだ、よかった。」
「ニャ、」
「痛い?」
「ニャ、」
体はまだ痛かったけど、アレンが優しく頭を撫でてきて気持ちよかった。
その後、ご飯を食べて、ソファでアレンはあたしの背中を撫でていた。
しっぽをふりふり、とふるとアレンはまたしっぽを掴んできた。
びくっ、となってあたしはアレンを睨みつける。
「ふは、ごめん。つい」
こいつ絶対ごめんって思ってない。
だって、すごい満面の笑みだもん。
キッと睨んでやると、爽やか100%な笑みで返された。
けど、その笑みはふっ、と消え、アレンの顔は自嘲的な切ない笑みを浮かべた。
そして、ついには俯いてしまう。
…アレン?
不思議に思って首を傾げる。
アレンは俯いたままあたしの頭を撫でた。
「…最近、悩んでて、」
「……僕には、好きな人がいるんです、」
ポツリ、ポツリと自信なさげに小さな声話すアレン。
「けど、いつも素直になれなくて、
冷たくしてしまうんです、
そんなこと思ってないのに。」
「本当はすごく心配でしょうがなかったのに、
メールひとつ送るのにためらって、
送ったとしても一言多い文章だし。」
「リナリーにも怒られちゃいました、
僕がそんなんじゃいつまでたってもだめだって。」
「本当ですよね、
変な意地ばっかで、
ずっと前から好きなくせに」
「本当もう、自分の不器用さに嫌気さしちゃって、」
ははは、と俯いたまま乾いた笑いをこぼすアレン。
けど、あたしの胸はやたらどきどきうるさくて
それは予感してるから、
アレンが続ける言葉の先を、
アレン、
もしかして、
「………………ナノ、」
俯いたままのアレンが小さく、けど愛しそうに、慈しむように、漏らした、その名前。
気付いてしまった、
その名前が、
この猫を指すほうの名前じゃないことに。
アレン、
あたしは、
「、!!」
どくん、
体が、あつい
まさか、
時計を見ると、
PM11:59
やば、い……
体が、元に戻る…
背中を撫でていたアレンの手をすり抜け、傷付いた体もかまわずお風呂場に走った。
アレンの突然のあたしの行動に驚いている顔が横目でちらりと見えたけど、今はそんなことかまってられない。
お風呂場に入ったとたん、
体がすごく熱くなって、
体が変形していってるのがわかる。
体を抱き締めて目をぎゅっ、と閉じた。
AM0:00
20110401