6 days


6日目、

AM5:38



もぞもぞとふとんを抜け出し、窓の鍵をなんとか開ける。
やっぱり猫の手じゃ窓開けにくいな。


カラカラ…、


よし、なんとか開いた。









バイバイ、アレン。









…道わかんないな……
うーん…まぁ、歩いてればいつか分かるとこに出るだろう、うん。


くぁ、


久しぶりにこんな早起きしたや。
眠い…、

半分寝た状態でふらふらと歩く。

………


…………………


……………………ん?

あれ?
ここ、うちの近所の公園じゃん!
すごい!
適当にふらふら歩いてたのに家の近くまで来れちゃったよ!
いやマジあたしすごいな!

ちょっとテンション上がって走って家に向かった。



たしか、窓の鍵開けっぱだったはず(危)



カラ、


やっぱり!
さすがあたしだ。
実はこういうの想定して開けっぱにしてたんだよね。(嘘)

もがもがと中に入る。



は、ぁ………



我が家だ!!



わー、
なんか超久しぶり!
久しぶりだね我が家!
あいかわらず汚ねぇな!

アレンの綺麗な部屋とつい比較しちゃって、自分の部屋なのにひどく汚く感じた。

えっと、、とりあえず携帯…






…………………エ?




【着信10件】
【メール20件】




うわ、なんだ!?




あ、……リナリーからだ。
そっか、メール返さず寝た挙げ句大学も行かなかったから…

電話にも出ず、メールも返さなかったため、ずいぶん心配したメールがリナリーからきてた。

あ、ラビからもきてる。
…お、神田まで










…………………知らないアドレス






まさか、












【どこにいるんですか?
 みんな心配してますよ
 早く連絡よこせ豚野郎】








…アレンだ。

あたしを豚扱いする奴なんてあいつ以外にいない。



…くそやろ、豚じゃねぇよ。



あーもう、なんで、

豚呼ばわりされてんのに、

ここは前だったら死ねモヤシって言うとこなのに、






なんでこんなに嬉しいんだ、






7日目までもうあと1日だから家で過ごそうと思ったのに、

早くもあの家に帰りたくなっちゃったよ。







カチカチ、と長い爪で不器用ながらも携帯を打つ。
みんなにメールしとかないと、
とりあえず実家に急用で帰ったことにしとこう。
とにかく家に帰ってきてよかった。
このままリナリーに連絡しなかったら、多分リナリーお母さんにまで連絡してたよ。
リナリー、けっこう過保護なとこあるからな…
そこにとても助けられてきたわけだけど。


【送信しました】



よし、



パチン、と携帯を閉じる。



ぐぅ、

そういや朝から何も食べてなかったなぁ。
たしか、冷蔵庫にソーセージが…


…あった。



…もぐもぐ、


なんかな、
アレンのおいしい手料理に慣れちゃってソーセージじゃなんだか物足りない。
なんて贅沢な猫なんだあたしは。


ごろん、


床に寝転がる。

やっと、人間に戻れる。
なんだか長かったな、この一週間。
たった一週間のはずなのに、一ヶ月くらいに感じたよ。
そんくらい充実してた。
いっぱいいろんなもん詰まった一週間だった。











…アレン、












今ごろどうしてるかな?

あたしがいなくなったこと気付いたかな、

淋しく思ってるかな、

それともそろそろ猫のお世話面倒に感じてたかな、

いなくなってせいせいしたとか思ってたりして、

今日は彼女とデートだったりして、

おいしいペペロンチーノごちそうしちゃったり?

きっと彼女の前では猫のあたしには見せないような顔をするんだろうな、

嫌だな、あたしいつの間にこんな女々しくなったんだ?

ちくしょー、これも全部お前のせいだぞアレン・ウォーカー。











アレン、

どうしよう。

あたし、アレンのこと大好きになっちゃったよ。





彼女いるから諦めようって、
人間に戻るから諦めようって、

そう思ったのに。











目を閉じて思い出すのはアレンの笑顔。

本当に、悲しいくらい、切ないくらい、好きなんだよアレン。















気付けば、窓の外が暗くなってた。

なんだかセンチメンタルになっちゃって、星がみたくなった。

入ってきた窓から外に出る。
近くの公園まで歩いてみた。


…曇ってんじゃん、
今にも雨が降りそう。

、運わる。
帰ろう。


そう思ったときだった、





「ニ"ャーッ!!」



……………は?



なんかデカイ猫が物凄いあたしを睨んできてる。
う、唸ってる………、
え、何何、超怖い。



やだ、怖い助けて



そう思った瞬間、その猫は飛び上がって襲ってきた。



固まる体、



ドンッ



猫がぶつかってきた衝撃で地面に倒れる。

逃げ出そうと立ち上がったけど、次は爪で引っ掻かれて、

肉がえぐれた、



やばい、コイツ本気だ。



殺される、



本能的にそう思ったものの、相手の猛攻にどうすることもできない。



引っ掻かれ、殴られ、噛み付かれ、


恐怖で頭が混乱する。


やがて、あたしは気を失った。


















薄く目を開く。

雨が降っていた。

水が傷口にしみてひどく痛い。

けど、体は動かない、

動かせない。



ああ、あたし死ぬのかな。



そう思ってゆっくり目を閉じようとしたその時だった、










あたしの頭上で突然雨が止んだ。










「………ナノ?」











うそだ、

なんで、







頭上からふってきた声は間違えるはずもない、











アレン、












体が持ち上げられる感覚を最後に、あたしは再び気を失った。







20110330

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