【満場一致】

※ここに出てくるOLのお姉さんに自己投影して読んでね!※



白ランが良く似合う男の子たちが、電車に乗っていた。乗客は、チラチラとその4人組を見ては、そっと目を逸らし、胸の内をドギマギさせていた。カッコいい男の子たちの集まりって、やけに目を引くのだ。

そんな事など全く気付かないノイトラは、むしろ、斜向かいの席に座るOLのお姉さんを見て、おやっと思った。綺麗で、可愛くて、グッとクるものがある。ノイトラは、まだ金麦は飲めないけれど、あの人に「金麦冷やして、待ってるから!」と言われたらダッシュして帰るだろうと確信した。
ボケっと彼女に見惚れていると、隣に座っていたザエルアポロが訝しげに「何を見ているんだい?」と耳打ちした。

「あのOLのお姉さん…良くね?」

ノイトラはやっと彼女から目を逸らして、ザエルアポロに顔を寄せた。

「あそこの黒いスカートの人?」
「そォ」

座席に座らず、立っていたグリムジョーが振り返ってじいっと彼女を見てから、パッと2人の方に向き直った。

「良い女だな」
「だろ?」
「確かに、そそられるね」

3人は声を顰めて、あれは同級生には居ないタイプだとか、港区に住んでる彼氏が居そうだとか、女子大出身の雰囲気半端ねえなと話し合っている。
なお、全て偏見である。

この会話に混ざって居なかったウルキオラだが、3人の話題がついに「タイトスカートってのが男心を理解してるよな」「薄い黒いタイツだったらヤバかった」「僕、ガーターが好きなんだけど、彼女似合いそうだよね」と、猥談へと移り変わりそうになったので、やっと口を開いた。

「…お前達、電車の中だぞ」
「あ?お前、スカした顔しやがってよォ…。どーせ頭ン中ではとんでもねェ事考えてンだろ」

ノイトラは威嚇する蛇のように、ウルキオラに噛み付いた。しかし、そんなの全然相手にしないのが、ウルキオラくんである。とっても大人でマトモな男の子だと言わざるを得ない。

「誰もがお前のような下衆ではない」
「…あっそォ。そォかよ。テメェ言ったな?じゃ、多数決とるぜ」

ノイトラは4人のグループチャットにひとつメッセージを送った。他の3人は通知が届くと共に、即座にディスプレイに視線を落とす。
そこに書かれていたメッセージとは。

『ああいうOLのパンスト、破りたくね?』

ザエルアポロ、グリムジョー、ウルキオラは顔を上げて、互いの目を見合わせてから、ノイトラに視線を向けた。

「いいか、俺以外全員目を瞑れ。賛成の奴は手ェ挙げろ。言っとくが、俺は挙げるぜ」
「下らん…」

ウルキオラはそう言いながら、深く溜息をついて、件のOLのお姉さんをチラリと見てから、そっと瞳を伏せた。





黙って挙手する白ランの男の子4人が、電車に揺られていた。
それを見たOLのお姉さん、なんだかカワイイ男の子だちだなと向こう側の席でコッソリ笑っていた。
めでたし、めでたし。

(おわり)


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