その日、東京には雨が降っていた。
灰色の雲は重く垂れ込み、銀の絹糸のような細い雨が絶え間なく降り注いでいた。窓から望む東京の街は、どこまで白く霞み、建物のシルエットだけがボンヤリと灰色に浮かび上がっている。

高く聳える東京タワーすら、今は白い霧の中である。

東京タワーから少し離れた大きな通りには、面した間口の狭い背高ノッポなビルがあった。
下から数えて6番目の窓の中には、喫茶店が入っている。窓にはレトロな文体の金文字で『喫茶ウンデシーモ』と記されている。

カウンターの中には、カッチリとしたカフェの制服を着こなす店主がひとり。
カウンターの向こう、ホール側には可愛らしいウェイトレスさんがひとり。

「なまえ、あちらのお客様に」
「はい、シャウロンさん」

なまえと呼ばれた可愛らしいウェイトレスさんは、シャウロンという名の店主の淹れた珈琲を受け取り、銀色のトレイに乗せた。
湯気を立てながら揺蕩う珈琲の表面は、店内の深いオレンジの照明を反射させている。
緊張したようにぎこちない足取りで窓際のボックス席に辿り着くと、なまえは可愛らしい笑顔を浮かべて、おじさまに珈琲を差し出した。
可愛らしいウェイトレスさんにふと気付いたおじさまは、覗き込んでいた競馬新聞からパッと顔を上げた。

「ありがとうね」
「ごゆっくりどうぞ」

なまえが頭を下げると、おじさんは嬉しそうに瞳を細めて珈琲を啜った。
それから窓の外をチラリと見て、彼は唐突に「シャウロンさんや」と、声を上げた。

「はい」
「何番が当たると思うね」

おそらく競馬のことである。おじさまは好々爺らしい見た目とは裏腹に、競馬新聞を舐めるように読み込み、神経質そうに片眉を吊り上げていた。

「…フム」

カウンターの中でシャウロンは少し考えてから「6番」と言った。一切の淀みがない言い方であった。そこには、何か確信があるように見えた。
おじさまは競馬新聞を見て、おやっと瞳を見開いた。

「おっ、6番…ノムカウウツ。良い名前だ」
「素晴らしい。実に」

シャウロンは、無表情に相槌を打った。
なまえだけが「本当にそうかな?」と首を傾げている。
こんな風に素直で可愛らしい仕草をシャウロンに盗み見られているとは知らず、なまえはぼんやりと立ち尽くしていた。店内に他に客など居なかった。
静寂を破るよう、ボックス席のおじさまは声を張り上げた。

「シャウロンさんや、もう一つ!」
「11番」

またしても、シャウロンは渋い声で淀みなく番号を述べる。
果たしてこの数字に意味はあるのだろうか。まさか当てずっぽうではあるまいか。
なまえは訝しげに店主のシャウロンの顔を覗き込んだものの、彼はポーカーフェイスを崩さなかった。

「11番は…クウネルスム。こりゃ寿限無かね?」
「さて」

おじさまはそれから、ウームと唸って頭をポリポリ掻いて、新聞と窓の外を交互に見詰め、ゆっくりと珈琲を平らげてお店を出た。
なまえは「ありがとうございました」と頭を下げる。続いて、シャウロンも同じく細い声で「ありがとうございました」と言った。

テーブルのお片付けはなまえの仕事。
ピカピカに光るテーブルの上には、飲み干したソーサーと、席に備え付けのメニュー表がポンと置いてあった。
茶色い革張りに、レトロな文体で『喫茶ウンデシーモ』と金色に箔押ししてある。高級感、重厚感がズッシリと詰まっている。
なまえはそういえばと思って、メニュー表を拭きながらカウンターの方を向いた。

「シャウロンさん」
「何だ」

なまえの声で、シャウロンは緩く顔を上げた。

「ウンデシーモって、どういう意味ですか?」
「…フム」

斜め上を見上げて、シャウロンは記憶を辿るような顔をして見せた。濃い眉が悩ましげに寄せられる。
絵本の続きを待つ子どものような顔をしたなまえは、ちょこちょこっとシャウロンの側に寄った。

ウンデシーモ。果たしてその意味とは。

ひとつ瞬きをしてから、シャウロンは勿体ぶっていた口を開く。

「…まあ、そうだな」
「はい」
「小娘には分かるまい」
「うわあ、意地悪!」

ニヤリと笑うシャウロンの顔は、時代劇の悪代官よりずっと悪い。
なまえは笑いながらも、「嫌なひと!」と言って背を向けた。

「何だ。今頃気が付いたのか」
「もっとこう、シャウロンさんは紳士だと思ってました」
「甘いな」
「残念ながら」

なまえは手持ち無沙汰になり、店の中をパトロールするかのように歩き始めた。まるで小型犬が、たった一人でリードを咥えて散歩しているようだ。微笑ましい光景である。
シャウロンはフッと小さく笑って、なまえの可愛らしい後ろ姿を見つめた。
彼女には黒いタイトスカートに、黒いベストを制服として与えている。白いシャツの胸元にも黒のリボンタイがひとつ。キッチリと纏められた髪の毛に乱れは無い。
振り向いたなまえは、シャウロンと目が合うとニッと微笑んだ。

「何かお仕事、あります?」
「無い。店の中の散歩を続けろ」
「つまんないなあ」

愛嬌のあるなまえは、このお店に飾られた一輪の花のようであった。

愛らしくて、華やかで、それなのに、微笑めば匂い立つような美しさを持っていた。
彼女が近くに来ると、シャウロンの胸の内が静かに高鳴った。あと一歩踏み外せば、危険域に入りそうだ。
どれ程心を砕いてシャウロンが自制しているか、なまえは知る由もない。

「暇だなあ…」
「キビキビ歩くんだぞ」
「軍隊じゃあるまいし…」
「小言を垂れるな、二等兵」
「鬼軍曹め…」

ある種の棘が含まれた冗談こそ、シャウロンの自制心の現れであった。
何も知らない、呑気ななまえ。グチグチ言い返しながら、ガラスで出来た大きな押扉の前でピタリと立ち止まった。
年季の入った取手を見て、それから振り向いてレトロなデザインのソファを見る。各テーブルに置かれたルーレット式のおみくじ器を手に取る。彼女はシャウロンの真似をして「ふむ」と言ってみる。

「シャウロンさん」
「今度は何だ」
「このお店って、いつからやってるんでしたっけ。結構長いですよね」
「…フム」

なまえは「昭和ですか?」と言いながら寄ってくる。飼い主を信頼し切った飼い犬のような顔である。
出来る限り真面目な顔をして、シャウロンはひとつ呟く。

「戦国時代からだ」
「せん……ごく………?」
「ああ。戦国時代だ」

なまえの眉が曇る。それとは相反してシャウロンの瞳はイキイキと輝く。
男の子はいつだって、可愛い女の子を揶揄いたいのだ。

「茶湯の頃とも言えるか…」
「…あの、嘘ですよね?」
「うちの珈琲と千利休の茶、どちらが上か決闘した事もあるぞ」
「ええ…」

間違いなく、嘘である。
しかしシャウロンが大真面目な顔をして言えば、大体の事がそれらしく聞こえてしまうのだ。

「我が一族は、珈琲大名によくよく可愛がられたものだ」
「何ですか?珈琲大名って」
「知らんのか?呆れたものだ。家紋に6つの珈琲豆を描いた紋様が有名だろうに」
「それ、どこかの喫茶店の看板じゃないですか?」

なまえの頭の中には、全国チェーンの某喫茶店のロゴが浮かんでいる。

「…あれは横一列だな」

シャウロンの脳内にも同じロゴが浮かんでいたらしい。

「ほら!やっぱりドトー」
「皆まで言うな」
「もー、いつも嘘ばっかり」

下らなすぎるやり取りに、なまえは呆れたように笑った。
ここのマスターは冗談ばっかり。純真ななまえが騙された回数は、夜空の星の数に匹敵しそうである。
シャウロンは満足げに口角を吊り上げて、如何にも人を小馬鹿にした表情を浮かべた。

「まさか。私が嘘をつくとでも?」
「ついてるじゃないですか!今!」

しれっとしたシャウロンを見て、なまえは堪えきれず大きく笑った。笑って丸く膨れた頬に赤みがさしている。
シャウロンは可愛らしいなまえを横目に、ガラス扉の向こうのエレベーターが上に上がってくるのを捉え、きりりと表情を引き締めた。

「おい、金ヅル…間違えた。お客様が来るかも知れんぞ。顔を引き締めろ」
「えっ、あっ…!はい!」
「さて、幾ら搾り取れるかな」
「…またそんな事言って」

シャウロンの見通し通り、カランコロンと扉に付けられた鐘が鳴る。すっかり華やかな笑顔を浮かべたなまえもピシッと背筋を伸ばした。

「いらっしゃいませ!」

なまえが出迎えた常連のおじさまを皮切りに、夕方のお客様方がドッと雪崩れ込んできた。
花から花へと渡る蜜蜂のよう、なまえは軽やかに動いた。
まるでアンドロイドのような無駄も隙もない動きで、次々とドリンクをトレイに乗せるシャウロン。
フードの注文もまるで魔法のようにサッと仕上げてしまう。白いお皿に美味しそうなナポリタンが乗せられる。次にトースト、ケーキ。またナポリタン。ピラフ。
なまえもここぞとばかりにカウンターの中に入り、珈琲からメロンソーダに、オレンジジュースをグラスに注いで、あっという間にテーブルへお届けに上がる。

制服の白いシャツの内側に薄く汗が滲む程、店内は賑わっていた。

2人がホッと一息つけたのは、閉店後の事であった。

空は暗く帷を下ろしている。灰色の雲の隙間から、赤く点滅するビルの灯りが覗く。
なまえは全てのテーブルを拭き上げ、床にモップをかけて、猫のようなしなやかな動きでカウンターの内側にするりと入ってきた。

「シャウロンさん、ホールのお掃除終わりました」
「ご苦労。後は上がって良いぞ」
「はい。お疲れ様でした」

ぴょこんと頭を下げた拍子に、なまえの髪の毛は一筋乱れた。
それが今日たくさん働いた証だ。シャウロンもつられて軽い疲労感を覚えた。
レジ締めも終わった。掃除も終わった。シャウロンはカウンター内の丸椅子に崩れるよう腰を掛けた。
疲労感にやられてしまった。
こうなると、シャウロンは店で一休みしてからではないと帰れない。もう体力というより、気力が持たないのだ。

一休みついでに、酒でも飲もうかと思い付いた。
さて、何かアテは無いかと彼は店の冷蔵庫を開けた。

「………あっ」

しまった。
シャウロンは隅っこの方に積み上げていたパック物を手に取り、ゾッとして賞味期限を確認した。
お店の冷蔵庫の隅っこには、終業後の店内でシャウロンが1人で酒を呑む時用のおつまみが入っている。
明太子、チーズ、漬物、豆腐などなど。所謂普通のおつまみセットである。
まず初めに手に取った明太子なんて、そろそろ賞味期限が怪しい。豆腐だって今日あたりに食べ切らないと、とっても危ない。

すっかり忘れていた。
しかし1人で食べ切るには、ちょっと頑張らなきゃいけない量だ。疲れているのに、これ以上頑張りたくない。
シャウロンはしばし逡巡してから、更衣室に向かって「おい、なまえ」と呼び掛けた。
間の抜けた「はあい」というお返事があってから、なまえは扉の隙間から顔を出した。

シャウロンは店の奥の棚にしまっていたサトウのごはんを取り出しながら「時間はあるか」と聞いた。他に明太子や漬物をチラチラ見せる。これはまかない飯を食って行けという合図だった。
なまえは薄手のニットの袖口を捲りながら、「あります!」と言った。
話は纏まった。シャウロンはホッとして薄く笑った。

「これより、お前に一子相伝のレシピを教える」

ステンレスの台の上には、サトウのご飯、明太子、漬物、豆腐、顆粒の出汁の素が並べられている。

「…どうせお茶漬けですよね。レシピも何も無いじゃないですか」
「いや、漬物も入るからぶぶ漬けだ。迷惑な客に出してやると良い」
「嫌味だけは京風ですか」
「そうだ。エスプリも利かせてやるんだぞ」

なまえは少し呆れたように、唇を尖らせた。

「それは…シャウロンさんから学ばせて頂きますね」
「…フム。素晴らしい。お前、嫌味の才能があるぞ」
「やだ。要らない。お返しします」
「ダメだ」
「やだあ」

なまえとシャウロンは無駄口を叩きながら、何も言わずして役割分担を行った。
シャウロンは明太子を炙り、なまえはサトウのご飯をレンジでチン。更にシャウロンから手渡された出汁の素をお湯に溶かす。ついでに塩とダシ醤油も少しずつ足す。
シャウロンは漬物をサクサク刻む。なまえは茶碗にご飯をよそう。炙った明太子と刻まれた漬物、お豆腐をほろほろ崩してご飯の上に乗せる。冷蔵庫の端でしなしなになっていた海苔も散らされた。

なまえは小さなお鍋を持って、シャウロンに目配せをした。

「…お出汁、注ぎますよ」
「ああ、溢すなよ。血の一滴だ」
「どこがですか」
「冗談だ」
「知ってます」

二つの茶碗から湯気が立った。
カウンターに隣同士で座って、「いただきます」と声を揃えてお夜食タイムを始める。
黙って顔を見合わせて、2人は瞳を細めてウンウンと頷き合った。
これ、中々ウマイのだ。

「美味しいですね」
「独り占めすれば良かったくらい美味いな」
「ねえ、1人で食べたら絶対味気なかったですよ」
「…」

シャウロンはご飯を飲み込むフリをして黙った。なまえの言ったことが真実であり、正論だったからだ。
そんなシャウロンの心を見抜いてか、なまえも黙って熱い出汁を啜った。
沈黙が流れても、それすら心地良かった。店内の灯りは絞られ、カウンターでモソモソ茶漬を頬張る2人にだけスポットライトが当たっているようだった。

シャウロンは先に食べ終わると、冷蔵庫からキンキンに冷えたビールを持ってきた。ついでにスモークチーズまで手に持っている。

「あっ、ビールだ」
「お前も飲むか?一口500円で分けてやろう」
「ケチだなあ」
「どうせビールは飲まないだろう」
「まあ、そうですけど」
「小娘にはまだ早いからな」
「…」

今度はなまえが黙る番だ。
まだビールの美味しさは分かっていないのだ。小娘と呼ばれたら黙るより他は無い。
シャウロンは水でも飲むかのようにビールをグイグイ飲み下す。

「ご馳走様でした」

シャウロンに少し遅れて、やっとお茶漬けを食べ終わったなまえ。
彼女は空になった茶碗をサッサと洗うことにした。若者はおじさんと違って、サクサク動けるのだ。
疲れ切って遠い目をしているシャウロンを見ていると、昼間のサイボーグのような働きっぷりはどこに消えたのかしらと、なまえは密かに笑っていた。

そんな疲れ切ったシャウロンに、なまえはひとつの慈悲をかけた。シャウロンの使った茶碗をそっと回収して、黙って洗ってあげたのだ。

「…小娘の癖に気が利くな」

シャウロンは嬉しさ半分、申し訳なさ半分といった表情を浮かべる。
なまえはイタズラっぽく肩をすくめた。

「シャウロンさん、こういう時はありがとうって言うんですよ」
「…感謝する」
「素直じゃないですねえ…」
「…」

なまえはわざと大きな溜息を吐いた。
シャウロンは居心地悪そうに、ギクリと肩を揺らした。居た堪れないのか、視線も泳ぎ始める。
嫌ァな沈黙が流れる。
畳み掛けるよう、なまえはシャウロンに意地悪を仕掛けた。

「もう、こんな時ばっかり黙っちゃって。シャウロンさんなんか、嫌いになっちゃいますよ」

お姫様は可愛らしくご機嫌を損ねた。
流石に不味いと思ったシャウロン。内心ビクビクしながらも、なまえの前に最終兵器を差し向けることにした。
黙ってスッと立ち上がり、カウンター内に進む。冷蔵庫のステンレス製の扉を開いて、取り出すのはチーズケーキ。
可愛い従業員のご機嫌を伺うよう、一等美味しいケーキを捧げ物に選んだのだ。お皿洗いをしているなまえの横にソレをちょこんと置く。

「…大いに結構。嫌えるものなら嫌ってみろ」
「あっ、ケーキ!」
「どうだ?」
「…シャウロンさんを嫌うのは、保留にしてあげます」

手早く洗い物を終わらせて、なまえはケーキを手に取り、カウンターに戻る。
シャウロンは余らせていたアイスコーヒーを細いグラスに注ぎ、なまえに渡した。

「アイスコーヒー付きだ。さては惚れそうになっただろう?」
「さて、どうだか」

気高い猫のようになまえは取り澄ましている。しかし、心なしか口角が上がっているではないか。
小娘はポーカーフェイスも保てない。

シャウロンはなまえの嬉しそうな横顔を見て、余裕たっぷりに薄く笑った。

「お前に惚れられても、私は相手してやれない。すまないな」
「私だって、明日には彼氏作っちゃうかも知れませんよ。期待に応えられなくて、ごめんなさい」
「…おい、私を振るな」
「シャウロンさんが先でしょ?」

渋く顔を顰める男が一人。
勝ち気に微笑む女が一人。

勝敗など、とうに決まっていた。

負けず嫌いのシャウロン。小娘に負けまいと、必死に頭の中で上手い返しを考えた。

何と言おうか。
いっそ愛してると真顔で言ってみようか。いいや振らないでくれと縋ってみようか。
というか、なまえに彼氏なんて作る余地はあるのか。いや、なまえはモテそうだから…。しかし、この子に釣り合う男はこの世に居るのか?だとしたら、やはり王道に「私はお前を愛しているのに?」これに決まりだ。あとはいつもの「冗談だ」で決まり。
いや、半分くらい冗談ではないのだが。

シャウロンは、たった1秒の間にこれだけ考えていた。

しかしなまえが「ケーキ、半分こしませんか?」と無邪気に言うので、シャウロンは必死に考えた口説き文句を飲み込んで「貰おうか」と白旗を掲げてしまった。
完敗である。

フォークでケーキを切りながら、なまえは突然「あっ」と言う。

「明日、わたし休みでしたよね?」
「…そうだが。どうした?急に」
「えっと、別に?」

含み笑いを湛えたなまえ。
まさか。まさか。先程の明日には彼氏でも出来そうというのは、本当なのだろうか。そんな気がしてきた。だってこんなに可愛いお嬢さんだ。今まで仕事中に、何人分の連絡先を受け取って来た事やら。
シャウロンの額にイヤな脂汗が滲む。

「予定でも、あるのか?」
「ナイショ」

甘い声でそう言われてしまった。男は女の甘い声に弱いんだ。もう何も言えまい。
多弁で黒星。沈黙で白旗。

翌日。なまえが可愛いワンピースを着て「カウンター席、空いてますか?」とお店に遊びに来るまで、シャウロンは戦々恐々として1日を過ごすのであったそうな。
めでたし、めでたし。


(おわり)


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