「梨奈さん!」

「ん、どうした昴」


 バン、と大きな音を立てて入ってきたのは飯野昴。カレゾフファミリーの仲間であってわたしと同じ並高に通っている1つ下の高1。馬鹿がつくくらい正直な奴でこの年にしては珍しいと思う。
 そんな訳でわたしもコイツをかなり信用しているのだ。


「実は先ほど新しい情報が入ったんですが、ボンゴレ十代目が日本に帰ってくるそうです」

「は?」


 今声を出したのは、わたしじゃなくて右腕の月岡愁。勝手にわたしの部屋、言い換えればボスの部屋でくつろいでいたんだけど、昴の言葉は聞き捨てならなかったようだ。


「でもどうして日本なんかに?まぁわたし達に危害はないと思うけど」


 はっきり言って我々カレゾフファミリーは弱小ファミリーだ。そして歴史も浅い。わたしが3代目だからお祖父様が作ったのだけれど抗争に巻き込まれた父、2代目は早死に、病がちな母も早くに亡くなった。ボンゴレのような大きいところがわざわざ小さいところに突っかかってくるような真似はしないだろう。


「それがですね、梨奈さん、………並高に転校してくるみたいなのですが」

「は!?」


 思わず机に手をついて立ち上がった。えと、前にイタリアに留学中だった……なら有り得るかも。ボンゴレだし、過去だって何だって捏造できそう。でも、じゃあどうして日本なんかに?故郷が恋しくなったとか?まさか。多分そんなんじゃないだろう。
 あ、前に京子からツナくんっていう言葉がでてきた気がする。もしかして………そうか。京子を連れ戻しに来たとか。でもそれならなんで転校?それに京子を危険な目にあわせるかもしれないのに。だったら会いに来ただけとか、……うーん、わからん。


「昴、また新しい情報が入ったら頼む」

「はい!」


 ぼすっ そう音を立てて椅子に深く腰掛けた。
 沢田綱吉のことを話していた時の京子の顔が思い浮かぶ。このことを彼女は知っているんだろうか?いや、多分知らない。ふたりは恋人同士などという関係ではないように京子の話から伺えたし。並中出身ではないわたしは京子と出会ったのは高校入ってからで。同じクラスになって、明るい彼女から声をかけてくれたのだ。当たり前のように沢田綱吉とも直接会ったことはない。
 もし本当に並高にくるんだったら……ボンゴレに目をつけられないようにおとなしくしている他ないだろう。まあきっとこちらにカレゾフがいるというのはすぐにわかると思うけど。

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