「高木くーん、真城くーん」

「あれ?服部さんでしたか。どうぞ上がって下さい。名前来るって行ってたのになぁ、遅いな」

「いるよっ」

「名前!」

「さっきそこでばったり会ったの。ね?服部さん」


 そう言えばこくりと頷いてくれた。
 今日仕事場行くねって連絡入れてたからシュートが心配してくれてたみたいだけど、服部さんの後ろから顔出すと、気付いて安堵の色を見せた。そもそも今日来るって言ったのは、服部さんとの打ち合わせの日だって聞いたから。時間までは流石に聞いてなかったけど、丁度ぴったりで良かった!


「じゃあネーム見せてもらうよ」

「コーヒーどうぞ〜」


 早速打ち合わせに入った3人とわたしの分のコーヒーを淹れて、近くの椅子に腰掛ける。打ち合わせで、且つわたしがいる時は、わたしがコーヒーを淹れる当番みたいになっている。それにしても、部外者のわたしがこんな近くにいれるなんて、優しいよなぁ、服部さん。


「ここはもう少しセリフを減らして…」

「でもどうしても説明部分は…」

「出来るだけ簡潔に。ちょっとくどい感じがするから」

「わかりました、やってみます」

「うん。で、ここは───」


 流石にネームまでは見てないから(さっき来たばっかりだし)話してる内容まではわからないけど、コーヒー片手に3人の話をちゃんと聞いておく。実際は服部さんの声を聞いていたいっていうのもあるけど。でも、3人が真剣に話し合いをしてる中、わたしの周りだけゆったりとした時間の流れがあるこの時が好きだ。


「服部さん、この後何処行くんですか?」

「何処って…会社だよ」

「あ、そうですよね」


 わたしってば何聞いてんの、もう。編集の人は忙しいんだからすぐ集英社に戻るに決まってるじゃない。そんなことも気付けないなんて…はぁ。


「じゃあ脳に糖分をってことで、はい!」

「これは?」

「プリンです。もし良かったら食べて下さい」

「おお、ありがとう」


 以前甘い物は割と好きだってこと伺ってたから今回は駅近のケーキ屋さんのプリンを買ってみた。上にクリームとか余計なものは乗ってなくて見た目は普通なんだけど、すっごい美味しいんだなこれが。
 服部さんの笑顔も見れたことだし、ちょっと充電、出来たかな。


「残りのお仕事も頑張って下さい!」

「うん。社に着いたら食べるよ、ありがとう」


 次は手作りでも、やってみようかな。




心の中で、また来週。

 あとがき

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