「名前、」

「あ、佳主馬君。おはよう」

「おはよう。昨日言ってたやつ、ちゃんと持ってきた?」

「も、持ってきたよ!」

「良かった。じゃあ後でね」


 自分の体を恨みたい。今の会話だけで熱が顔に集まるなんて。鏡なんか見なくたってわかる。辛うじて冷たい指を頬に当てて冷ます。ていうか、佳主馬君赤くなったわたしを見て楽しんでた!絶対…!


「朝から見せつけないでよ」

「見せつけてなんかないし!」


 近くにいた友達からもそんなことを言われる始末。今日は運が悪いのかな?いや、でもいつものことだ。なんだようわたしらいじられキャラなんかじゃないのに。ましてやMでもないのに!


*****


「何ニヤニヤしてんの」

「してないっ!」

「どうせまた池沢でしょ?」

「う、」

「あんた池沢のことになると分かりやすいよね、ベタ惚れだし」

「べ、別にいいじゃん、好きなんだし!」

「顔真っ赤」


 鏡で確認してみると言われた通り赤くなっていた。凄い恥ずかしい。穴があったら入りたいよ本当に。
 友達の癖に毒舌だし、あたしのことなんか何にも考えてないんじゃないかって時々思う。いや、良い子なんだけど。


「で、何のメールだったの?」

「うわ何そのだらけた顔…気持ち悪、」

「今日何でこんなに扱い酷いの!?」

「さぁ?いつものことでしょ。てかいいの?」

「何が?」

「もう昼休み」

「えっ!?あ、ちょ、行ってくる!」


*****


「来るの遅い」

「ごめん」


 屋上で日向ぼっこしていたらしい佳主馬君はドア開閉の音を聞いて起き上がった。そんでわたしを注意した。時間に煩い人だったんだ知らなかった。遅れたのは本当に申し訳ないけどさ。


「お弁当は?」

「別に、佳主馬君の為に作ったんじゃないし」


 いや違うの。佳主馬君の為に作ったの。素直に言葉に出来ないわたしは相変わらず可愛気のない人だなあと思う。もっと素直になれたらもっと佳主馬君に好いてもらえるのかな、……
 佳主馬君の為に作った訳ではないと言いつつも、しっかり食べる準備をしている自分自身が不思議だ。ちゃっかり佳主馬君にお手拭きを渡している。


「食べれば」


 何でこう素っ気ない言葉ばかり出てくるんだろう……友達は全然そんなことないのに。

 あ、タコさんウインナー食べた。どうかな、美味しいかな。次はポテトサラダだ。美味しいとか不味いとか、何とか言ってよ。じゃないとわたしが食べれないじゃないか。あ?そんなこと気にせず食べちゃえばいいのか。我ながら頭良い!


「いただきまーす」

「美味しい」


 このタイミングで言うか。わたし口をあんぐりしたままフリーズ状態なんですけど今。


「別にそんなこと言われたって嬉しくないんだから」

「それ、嘘でしょ」

「嘘じゃない!」

「顔真っ赤で言われても全然そうは見えないんだけど」

「──っ!もう勝手に解釈すれば!」

「うん、そうする」


 何でいきなり佳主馬君のお弁当作ったのかって言ったら、それは昨日メールで言われたから。しかも突然。メールきた瞬間驚いたけど、これほど料理出来ない人じゃなくて良かった!と思った時はなかった。自分のステータスに感謝!
 それに今朝4時起きしたんだから。佳主馬君に美味しいの食べてもらいたくて。その努力で昼休み遅れたのは帳消しにしてよね。


*****


「はぁいっぱい食べたー!」

「太るよ」

「作らせといて何様!?」

「何って。……キング?」


 ほんと何様のつもりだよ。王様か。黙れ。


「うわっ」


 ねぇ佳主馬何やってんの。こんなところで何やってんの。屋上で誰もいないからって押し倒すってどういうことなの。


「セクシャルハラスメントで訴えるよ!」

「出来るもんならやってみれば?」

「あ、佳主馬!空綺麗だよ。見て見て!」

「セクハラの話どこ行った」

「佳主馬も日向ぼっこしようよー」


 佳主馬は少し難しい顔をしたけどわたしの隣に横になった。難しい顔というよりは面倒臭そうな顔かな。
 日差しがあったかーい。空が青くてきれーい。なんだか眠たくなってきたなぁ…。そういやお弁当片付けてないや。まぁいいか後で。そんなことを思いながらわたしは瞼を閉じた。





セクハラ青空

(名前寝ちゃったけどどうしよう)
(授業まであと5分)




□□□□
随分と遅くなってしまい申し訳ないです(;-;)
ツンデレは難しいしセクハラも全然出来てないという始末…
はぁもう自分おつ/(^0^)\
ではみぃ様に捧げさせていただきます。

101229

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