※長編夢主



“カタカタカタ”

「かーずまぁーー」

“カタカタカタ”

「佳主馬ってば!」

「話しかけないで。集中出来ない」

あぁそうですか、もういいよ!
本当は声を出してそう叫びたかったけど、わたしは無言で納戸から立ち去った。誰の挑戦でも受ける!───そう宣言している限り毎日何十人と戦わなきゃいけなくて忙しいのは知ってるし、それと共に一度の負けも許されないっていうことだってわかってる。ラブマシーンに負けてから同じ程のスポンサーがつくまでかなりの時間がかかったからだ。そんなことはいつも佳主馬の隣にいるわたしが誰よりも知っている。大声なんか出して手元が狂ったら……考えるだけでも恐ろしい。だからそこを考慮してのわたしの選択だったのだ。佳主馬に少なからず不満を感じているというにも関わらず、佳主馬のことを考えるわたしって偉くない?我ながら良く出来た彼女だと思う。

“バンッ”

だからといって怒りが治まる訳でもなく、力任せに自室の扉を閉めた。あぁ、今のはちょっとヤバかったかも。大きな音を聞いて侘助さんが変な心配をしませんように。というかまず今の物音が聞こえてませんように!
畳の上に俯せで寝転がり、頭の上にある大きめのクッションを手繰り寄せる。ぬーん。あ、これキングのぬいぐるみじゃん、クッションじゃなかった。キングの顔見てたら佳主馬にずっと構ってもらえてるキングが憎たらしくなってきた。から耳を思いっきり引っ張ってみた。コイツと同じ耳とか…なんかウザい。栄おばあちゃんのアバターにしよう、とりあえず。陣内家の家紋だから動かないけど、わたしは陣内家が大好きだからいいんだ!
ていうか今まで気づかなかったけどパソコンやってるとしてもOMCをやってるとは限らないんじゃん。つまり、どこかのコミュニティでチャットしているかもしれないし、学校の可愛い子とお喋りしてるかもしれない。わたしってそんなに魅力無いのかな...
(そうだ、佐久間さんに相談しよう)
佐久間さんは実際には会ったこと無いんだけど、健二さんの親友ということで知り合った。OZでは良く話したりもしてるから相談してもいいよね。佐久間さんのアバター名本当はタカシなんだけど、佐久間さんで慣れちゃったからずっとそのままてま呼ばせてもらってるんだ。
確認してみると佐久間さんもOZにログインしていてすぐさまワープした。

『佐久間さーん!』

『ん?ナマエじゃん』

『ちょっと聞いて下さいよ、佳主馬が浮気フラグなんですっ!』

『は?どうした?』

『彼女放置ですよ、もうこれは浮気してるとしか…』

『考えすぎじゃない?いつものナマエなら佳主馬君を一番信じてるじゃん。』

『そ、そうだけど……佐久間さんわたしどうしたら良いと思う?』

『なんだよ、やっと俺んトコくる気になったって?』

『それは無い。断じて有り得ない。却下』

『うわ、即答ーー』

「うおあっ!」

知らないうちにわたしは佳主馬に後ろから抱きしめられていた。勿論座った状態でだけど。佳主馬は物音一つ立てないでこの部屋に入ってきたらしい。怖いな……

「なにしてんの」

「佐久間さんとお喋り」

そう答えたら携帯を取り上げられた。ちょっと、何様のつもりよ。携帯返せ!って思って体を反転させて携帯を追っかけてたら左腕を引っ張られた。そしたらすっぽりと佳主馬の腕の中におさまってしまった。何でだろう、もうわたしの心の中に怒りという感情は無くて。わたしをぎゅうっと抱きしめる佳主馬の鼓動をただただ感じていた。あれ?この子何でこんなに震えてるの、

「ごめん。僕、何にもわかってなかった。だから…もう僕の前からいなくならないで」

なに、この可愛い生き物。ちょっとそばにいなかっただけなのにね。

「ばか」

ちょっとくらいの
しさで


「言っとくけどOMCやってただけだから」
「わかってるよ」


□□□□
あんまり嫉妬要素ないし結果的に微裏でもないという^p^
ごめんなさいとしか言いようがない…
しかも敢えての佐久間さんの登場という…
あぁもう本当すいません!
お持ち帰りは様のみ許可致します。勿論持ち帰らなくても結構ですので!

101107


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