『『『誕生日おめでとうー!』』』

『ありがとう!』


 ネットで知り合った人たちにリアルタイムで祝ってもらえるのもOZの醍醐味である。クラッカーを鳴らしてくれたり、小さな花火をあげてくれたり。誕生日に使える小道具は沢山あるし、それが故に楽しさが増す。
 それなのに、───わたしの彼、と言って良いのか分からないけど、好きなあの人はまだ今日になってから一度も会いに来ない。勿論、OZ上で。遠距離恋愛、遠距離片想いとでも言うべきか、わたしは彼に会いに行けない。良くて年に数回くらいだ。しかも全てわたしが会いに行っている。相手は年下だし、まだ高校生だから仕方ないし、別にそれは良いんだけど。
 彼、というのはOZで最も有名な人、キングカズマを操る彼。今もOMCで戦ってるのかな、今日くらい暇を作ってくれてもいいのに。なんて、そんな都合良いことある訳ないか。


───ピンポーン


 そのとき、インターホンが鳴った。OZのみんなに少し席を外すことを伝え、玄関へ向かった。宅配便かな。


「俺、」

「佳主馬、くん?何で…」


 此処にいるの。その言葉は彼自身にかき消された。ドアを開けたら制服姿の佳主馬くんがいて、良かった、いた、間に合った、なんて言っている。安心した顔で、わたしの横を通り過ぎて何食わぬ顔で部屋へ入った。でも、どうして?


「俺、いつも名前が会いに来てくれるのが、それがどうしても許せなくて。勿論、名前が会いに来てくれるのはうれしいけど、俺だって男だからカッコいいとこ見せたいと思って」


 結局大したこと出来てないけど、と付け加えてへらりと笑った。佳主馬くん、どこか変わった。わたしの知らない間に、きっと大きな成長をしたんだ。
 わたしは温かいコーヒーを煎れて、佳主馬くんに差し出した。そしてパソコンの電源も落とす。今は、誰にも邪魔されたくない。


「OMCで賞金手に入る奴ばっか受けて、あと、コンビニのバイトもした」

「佳主馬くんがコンビニのバイト!?似合わなっあはは!」

「笑うなよ!…名前に会う為のお金だったんだから」


 そりゃ、俺だって嫌だよ、知らない人とか特に。なんて言うもんだからそれはもう可笑しくて。笑うほかなかった。わたしの為に苦手な、人と関わる仕事して、お金貯めて、こんなところに無計画で来て。その必死さが、可愛らしくて。そんなこと言ったら怒られるだろうから言わないけど。もしわたしが今日出ていたらどうするつもりだったのかしらね。


「ありがとね、佳主馬くん」

「誕生日おめでとう、名前」

「うん、ありがとう」

「俺が18になったら、今度はちゃんと迎えに来るから。だからそれまで、待ってて」

「もちろん」


 ねえ、佳主馬くん。わたし待ってていいんだよね?いつまでも。佳主馬くんの成長待ってたら、わたしなんかおばさんになっちゃうから。だから、ちゃんともらってね?


「それまで、彼氏とか作ったら駄目だからね」

「佳主馬くんこそ」


 ただでさえ、貴方はキングなんだから。女子が黙っちゃいないの、知っているんだからね。揺らいだりしたらそれこそ駄目だからね。




2人ぼっちの約束

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大変お待たせいたしました奏美さま!_(:3 」∠)_誕生日前には上げられましたのでお許しくださいませ。さてさて、佳主馬くんの年齢ですが、サマウォロードショー時に14歳でしたので、三年経った今年は17歳ということで高校生佳主馬くんにしてみました。中学から高校にあがれば口調も僕から俺にだってなるだろうと考えた結果こんな感じです。気にくわなければしゃしゃっとお直しいたしますのでなんなりとお申し付けくださいませ!(^o^三^o^)それでは!企画参加ありがとうこざいました!

碧子 121013

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