「なにしてんでィ」
「何って、草むしり?」
「そんなの見ればわかりまさァ」
自由奔放に生えた雑草の除去。今日の仕事だ。と言っても全然楽じゃない。この広い庭の見える所全てだもん。これを1人でやるなんておかしい、間違ってる。というか、近藤さんに押しつけられたんだけどさ…あンのゴリラァ…!!明日誰かお偉いさんが来るとかだろうけどこれは1人でやる量じゃないって。この季節、炎天下の中でやる訳じゃないからまだましかもしれないけど、というか寧ろ、寒さで手が荒れそうなんですけど!女子!女子労って!レディーファースト!
総悟はと言えば、縁側に腰掛けて高見の見物。脚を組み始めた。くそう、なんでコイツは暇なんだ!ちょっとくらい手伝ってくれたっていいじゃんか!お前は知らないかもしれないが、今日わたし誕生日なんだぞ!!!なんて総悟に言ったら弱みにされそうだから言わないけど。
「名前には雑草がお似合いでィ」
「は!?」
急に口を開いて何を言うかと思えばそれか!それだけか!
文句言おうと思ったら愛用のアイマスク付けてるし…あの目、苛々する…
「はあ」
そもそも何でわたしがこんなことしてるの。誕生日だからってそりゃ業務がなくなるなんて思ってないけどさ?でも雑草むしりなんてないんじゃないの。せめて警備徘徊の方が良かった。近藤さんはわたしの履歴書とか持ってるんだからその辺の対処くらいしてくれたっていいんじゃないの。そんなんだからいつまでもお妙さんに振り向いてもらえないのよ。
あーアイマスク苛つく!何故敢えて此処で仮眠をとるの総悟!どうせなら余所でやってよ…もう…
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「…よく寝た」
「良かったわね」
「全然進んでないじゃねェですかィ」
「文句ならゴリラに言ってゴリラに」
「やけに荒れてんですねェ」
総悟が口を閉じてから、再び声を発するまで数時間、外はもう赤くなり始めてるし。折角の誕生日がこれで終わっちゃうよ。
本当、ろくなことなかった。近藤さんには雑草むしり押しつけられるし土方さんはと言えば憐れみの目を向けてくるし(多分予定があったんだろうけどさ)山崎は朝からミントンしてるし総悟は馬鹿にするし。今思えば朝食のベーコンもみんなより1枚足りなかった。
「災難だ」
「何言ってんでやすかィ」
え、なに、いきなり総悟がわたしの両手をそっと優しく包んで、って総悟の手が泥で汚れちゃう。何してるの。
「さっさと泥落としてきなせェ。夕飯の時間でっせ。何しろ今日はケーキがあるらしいんで」
「本当…!?」
「さァ」
「は!?」
「俺は先に行ってまさァ」
縁側に履いていた靴を無造作に脱ぎ捨てて、手洗い場に走った。まだ誕生日は終わっちゃいなかった。
残り6時間
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くりゆーん!遅くなってごめんね!やっとのことで出来上がりました!が、あんまり罵倒できなかったよ…_(:3 」∠)_更にこうして欲しいとかあったら言ってね!書き直すから!それでは!企画参加ありがとーでした!
碧子