「あーーーーーーーーーー」

「なに」

「雨だ」

「うん、知ってるよ」


 今週はずっと雨が降るらしいことを天気予報で言い、その後今日はポッキーの日です、なんてテレビの中のアナウンサーが言って、心の中で知ってるよと返す。知ってるよ、今日がポッキーの日ってことくらい。ついでに言うとプリッツの日でもあるよ。どこぞのお菓子会社が決めたんだよね、勿論戦略で。だから今日は全国のスーパーでポッキーやプリッツが目立つところに山積みされてる筈だ。日本国民はその戦略に踊らされて何となくポッキーを手に取りレジへ行く。恋人同士やそうでない人も、例えば合コンなんかでポッキーゲームが始まる。今日何の日か知ってる人!ポッキーの日!ですよねじゃあやろうポッキーゲーム!えー。嫌そうな声を出して実はその状況を楽しんでる。そうして今日この日のポッキーの消費率が上がる。リア充もそうでない人も、みんな何となく口に運ぶ。今日は戦略的に決められたポッキーとプリッツの日。迷惑だ。


「雨だなー」

「うん」


 知ってるよ、とは今度は言わなかった。窓の外を何となく見つめている彼には、今日がポッキーの日だなんてこと、関係ないんだろうな。そう思うと、ちょっと嬉しい。きっと彼の頭の中は、本降りになり始めた雨でいっぱいだ。何事にも直球な、そんな彼が好き。今週一週間はずっと雨らしいよ。彼の横顔に想う。


「あ!」

「何、どうしたの?」

「誕生日!今日名前の!会ったらすぐに言おうと思ってたのに忘れてたってばよ!」

「…忘れてたの」

「わりぃ。名前!」

「うわっ」


 正面向いて何を話すかと思えばダイビングされて、というか抱きついたんだろうけど勢い余って後ろへひっくり返った。わたしの誕生日忘れてたって、直球型の彼が話題にしないからまさかとは思ったけど。そういうところはちょっと寂しい。


「17歳おめでとう!生まれてきてくれて本当にありがとう!好きだ!」

「ありがとう。わたしもナルト好き」


 更に力をこめてきて、きっとこれが彼のわたしに対する愛の大きさなんだなって思ったらそれすらも愛おしくなって。わたしも彼の背中にそっと手を回して抱きしめた。


「ちゅーしてえ」

「いいよ」

「…でも、ちゅーだけで我慢できる自信ねえ」

「これから土砂降りだって。帰れないね、ナルト」


 そしたら、張ってた糸がぷつんと切れたみたいに唇に噛みついてくるものだから、わたしもそれに応えようと必死になって。このまま朝が来なければいい。




お隣の世間様

□□□□
あんこさん。どうよこれ。ドストレートナルトくん意識してみたんだけど、書いた後ナルト目線のが良かったかなーいやでも今更書き直す力ないしこれ以上のもの書けないし
、という感じだよ。永遠に幸せにしてろって思うよ。お粗末様でした、まる。

120812

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