「あっちゃー」
早速チャラ男に絡まれている夏希姉。健二さん夏希姉を守ってくれるんじゃなかったの!?きょろきょろと見回せば、完全包囲された夏希姉の少し後ろでオドオドしていた。これだから草食系は。
「ちょっと、何あたしのお姉ちゃんに触ってんのさ」
「ぁあ!?ガキはすっこんでろ」
「お前みたいなお子ちゃまは相手になんないの」
「おおおお子ちゃま!?」
健二さんがなよいからわたしが行くしかない!ってそのかたまりに突っ込んでいった。したらガキだのお子ちゃまだの……馬鹿にするのも大概にしろよ。
「れんげ、それは言葉使い悪すぎ」
「あ、口に出てた?」
ごめんごめーん、最後に星のつきそうなくらい軽く返したのは、良いこと思いついたから。
「お兄さん方〜!そんなにそのお姉さんと遊びたいのならOMCで勝負しましょ」
「はぁ?」
「そんなのやる訳ねーじゃん」
「あーそっかそっか。弱すぎて勝てないんだよねごめんね」
「誰が弱いって!?…その勝負受けてやらあ!」
「そうこなくっちゃ!この人、超強いんで」
佳主馬の腕に絡みつき、ぴたっとくっついてみせた。彼氏持ちかよ、ガキの癖に生意気な、とか言われたけど、今あなた方が絡んでる夏希姉も彼氏いるからね!
佳主馬の顔色を伺うとめんどくさそうな顔をしていたけど目だけはギラギラしていた。これはKOするね。
「「は…?」」
「キングだと!?」
「お前キングなの!?」
「僕がキングだけど」
「キングとか卑怯だろお!(サイン欲しいサイン欲しいサイン欲しい)」
「じゃあキングの不戦勝にしちゃう?」
「いや…」
『Ready Fight!!』
始まりの合図と共にキングは姿を消した。困惑するチャラ男リーダーとそのアバター。不意に上からキングが落ちてきて潰したかと思えば目にも留まらぬ速さで叩きのめしていく。……ていうかなんか、怒ってる?
『K.O.!』
「…つええ」
「もう僕の関係者に手ださないでね」
「……うす」
計ってなかったけど、もしかして新記録?速すぎ…。折角海に来たのに浜辺でOMC対決っていうのも変なの。言い出しっぺはわたしだけど。(ていうか佳主馬ノーパソ持ってて良かった…!)
「「「す・い・か・わ・り!」」」
「すいかわりするの?」
「こっち〜」
「え、ちょっと、か、佳主馬!」
ちびっ子4人(別の車で加奈も来てた)に引っ張られ、陣内家のスペースに戻ってきた。誰が持ってきたのかはわからないけど大きな丸いスイカが3つ、並んでいた。
「スイカわりしたい人!」
「「「はいっ!」」」
「由美さん…」
「あははは」
奈々さんが中心となってスイカわりする3人を決めたところ、加奈とわたし、健二さんを除くみんなと由美さんが手をあげた。(佳主馬は無言だったけど)まあ由美さんはふざけただけだと思うけど。すぐ向こうに行っちゃったし…。
「加奈、こっちおいで」
最終的にジャンケンをして夏希姉と佳主馬と祐平と真吾になった。祐平と慎吾は2人でやるみたい。
「れんげ姉ちゃん〜」
「んー?」
「ジャンケン負けちゃった〜」
「そうだね、残念だね」
ちゃあんと見てたよ、そう答えると残念そうな顔をしながら、でもちょっと嬉しそうにしてわたしの隣に腰掛けた。
「「とりゃああああ!!」」
「あ、」
「ぐちゃぐちゃ…」
祐平真吾ペアはスイカをぐちゃぐちゃにしてしまいました。あーあ。でもスイカわりってこういうのがあるから楽しいんだよね。
「祐平〜真吾〜どんまーい!」
「次は夏希ちゃんね」
「はーい」
しゅっと目隠しをし、棒を持って立つ姿は様になっている。流石武家の子孫って感じ。
周りからは右だの左だの前だの色んな情報が飛び交っている。(間違った情報教えてるの誰ー?)そういえば周りに陣内関係者以外の野次馬が出てきている。
「えいっ」
「「おぉ…」」
わりかし綺麗に割れたスイカに、周りの人たちは思わず感嘆の声をあげる。中には拍手をしている人もいる。流石夏希姉だよなあ。陣内家が誇れる美人だと思う。これってあれ?親戚バカ的な?
「夏希姉お疲れ〜」
「うん。あ、由美さん〜!このスイカ切って〜!」
「次佳主馬じゃん。いってら」
わたしが拳を突き出すと、佳主馬もそれに応えてくれてちょっと嬉しくなった。勿論無言で。今更だけど、佳主馬の無言って色んな意味が隠されてると思うんだ。良い意味であれ、悪い意味であれ。
「「…え?」」
清々しい程に綺麗に割れたスイカがあった。(佳主馬がやらかした)本当、パックリ綺麗に。どうやったらこうなるの。超能力とか特殊なパワーでも使ったのか?これは。
「由美さん、これも切るの宜しく」
確かに凄いけどそのドヤ顔なんとかしてくれ佳主馬。
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