「海行こうよ!」

「はい?」

「だから海だって!」

「あーいいけど?」

「じゃあ30分後出発ねー!」


30分後って早くないですか?そしてテンション高くないですか夏希姉。てことはもう既に行こうって話が出ててわたしが誘われたことになるよね、なんかその会議に出れてないっていうのが凄い気掛かりなんだけど…ま、いいか。支度しないと。て、ん?


「どうしよおおおおおおおおおおおおおおおおうぇぐふ」

「馬鹿なの?」

「ばかです」

「ああそう」


縁側を叫びながらでんぐり返りでぐるんぐるん転がってたら佳主馬にぶつかりました。否、止められました。でんぐり返り真っ最中のわたしのおでこにピンポイントに人差し指当てるなんて…。どんな技習得してるの佳主馬は。


「…背中痛い」

「自業自得でしょ」

「うんわかってる。でもね、でんぐり返り楽しいんだよ!たまにやりたくなるの!」

「馬鹿?」

「ばかですって!」


*****


「いざ出陣っ!」

「だから何でそんなにテンション高いの」

「へ?」

「いや、こっちの話」


門の前にズラッと並んだ海行くメンバー。真悟率いるちびっ子たちに、理一さん、侘助さんまでいる… ていうか、佳主馬もいるんですが。ちゃっかり隣に。さっき会った時何も言わなかったから行かないのかと思った。


「佳主馬も行くんだ?」

「うん。れんげの水着姿見たいし」

「佳主馬の変態」

「褒め言葉として受け取っておくよ」

「ばーか」

「おい、いちゃつくなら余所でやれ」

「どこがいちゃついてるように見えるの!?」


佳主馬ってなんか変態的なことオープンなんだよなあ。変態ってことを隠していてもスケベみたいで嫌だし。だからと言ってオープンなのもどうかと思うけど。
侘助さんも侘助さんだよ。これの何処がいちゃついているように見えるんだ全く。


「みんな車乗ろっ」

「あれ?侘助さんは行かないの?」

「仕事あるからな」

「そ。じゃあ留守番頼むね」

「ああ」


みんなで車に乗り込む。侘助さんが陣内家で生活するようになってから、ノアを買ったのだ。たくさん乗れる車は今まで無かったから。栄おばあちゃんがいないのは寂しいけど、お陰で侘助さん帰ってきたし、角もとれたって感じで、侘助さんみんなに優しいんだ。


「じゃあ出発するよーみんなシートベルト留めてー」

「はーい」


運転席に理一さん、助手席には真悟。真ん中の列に夏希姉、健二さん、ちびっ子2人…佳主馬は何も知らないというように外を見ている。いつからそんなに俺様になったんだお前。足なんか組んじゃって。


「後ろ2人でずーるーいー」

「せーまーいー!」

「(くると思った…)」

「お前らは小さいから2人で一席でいいの」

「よくないー!」

「狭いー!」


佳主馬ってこんなに我が儘だったっけ?ちびっ子はいいかもしれないけどそれだと健二さんや夏希姉が狭いんじゃないかな、それだと2人はわたし達より年上だから駄目だよね…


「じゃあ真央くる?」

「うん行く!」

「れんげ!」

「だって健二さんと夏希姉に申し訳ないんだもん…」

「……」


返答しない佳主馬はおいといて、背もたれの上から後ろに来ようとする真緒を受け止めた。そうして佳主馬には少し端に動いてもらい、わたしが真ん中、右に真緒となるように座り直した。


「真緒、海楽しみなのはわかるけど、静かにしててね?佳主馬寝たいんだって」

「わかった」

「真緒も静かにするって言ってるから、いいでしょ?佳主馬」

「……」


あくまで返事はしないつもりなのか、決してこっちを向いてくれない佳主馬。ま、わたしには関係ないもんね!佳主馬がわたしを無視するなら、わたしだって佳主馬を無視するんだから。だってわたしは間違ったことしてない筈よ!


「真緒しりとりしよう!」

「え?いいの?さっき佳主馬が寝たいって…」

「何か言った?」

「……」

「れんげねーちゃん俺も入れて!」

「いーよー」

「じゃあ最初真緒やる!りんご!」

「ご、ごま!」

「マントヒヒ!」

「ヒ!?ヒダルマ!」

「マメパト!」

「……」






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