「佳主馬、」

「…ん」

「暑い」

「うん」

只今、私は佳主馬に後ろから抱きつかれています。勿論場所は納戸。ちびっ子のせいでまだまだ寝ていたいところを起こされた当てつけに、佳主馬をたたき起こしズルズルと連れてきた。現在7時半、寝起きなのはわかるけど、いい加減起きて下さい佳主馬さん。

「佳主馬、」

「……ぅん」

「起きてってばー」

「……」

寝たのかコイツ。さっきまでは辛うじて意識があったと思うんだけど、(生返事はしていたし)本当に寝ちゃった…?耳元から規則正しい呼吸音が聞こえる。
……仕方ないなぁ。私にのしかかる佳主馬の手を外し、体制を変えて頭を膝にのせる。所謂膝枕というものです。黒い髪に指を通す。あ、何気にサラサラじゃん。枝毛もないし、もしかすると女の私よりも良い髪質なんじゃない?羨ましい。普段家で何のシャンプー使ってるんだろう。それにしても肌黒い。何でいつもOMCしかやってないのにそんなに焼けてるの、可笑しくない?まぁでも冬だって何だっていつでも黒いんだから元々の肌の色か。でもあの2人からどうしてこんなに肌の黒い子が生まれるの、謎だ…。

んっ、と声を漏らして目をゆっくりと開けた佳主馬。おはよう。いい加減起きて欲しいかな。

「おはようのキスして」

「は?」

ボフン。朝から何をやらかしてくれとんじゃ君。お陰で顔真っ赤になっちゃったじゃんか全くもう。おはようのキスって何。気分は新婚さんですか、そんなことできるかあああ!

「ねえ早く、」

ねえ早くじゃないよ、こっちはテンパってんだって。それにキスしてって言われて直ぐに出来るほど慣れちゃいないんだよ。
てかなんでそんなに真剣な顔してるの、いつもみたいに照れたりしてくれた方ができるかもしれないのに。………わかんないけど

ずっと佳主馬が見つめてくるのでこれは逃げられないと判断した。だってねえ?まばたきひとつせずにわたしの顔をずっと見てくるんだもの。無理だよ、逃げられっこない。

ものすっごく照れながら、勿論仕方なくだよ!?佳主馬の顔に自分のを近づけて軽くキスをした。ほっぺに。それが気に入らなかったのかなんなのか知らないけど元の位置に戻ろうとするわたしの頭を引き寄せて乱暴にキスをしてきた。あのね、意外とこの体制辛いんだよ…うう背骨…

「佳主馬ってキス好きだよね」

やっと佳主馬から解放されて、わたしが呟いた。だって実際そうじゃない?ことあるごとにしてくるんだもの。そういう人のことをキス魔って言うんでしょ?

「れんげは嫌い?」

「嫌いじゃない」

「ならいいじゃん」

「うん」

「………」

「………」

「………」

「あのさ、いい加減起きてくれないかな。膝が痛くなってきた」

「うわ、ムードのかけらもない言葉。彼女が彼氏に向けて言う言葉には聞こえないね」

「それ一番佳主馬に言われたくないんだけど……」

さっきまでの雰囲気どこいった。ってくらい台無しなんだけど、おーい。



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