段々と日が落ちるのが早くなって、そのうち、冬が来た。受験に対する勉強もラストスパートに入っているが、教室ではいつも通りのんびりとした和やか雰囲気が漂う。受験するのはこの中の数名。その数名は冬休みも勉強漬け、わかりきったことだけど。そしてわたしもその中の1人だ。自分で決めたのだから文句は言えまい。


「れんげ、冬休みどうする?」

「どうするってなにが?」

「今みんなで遊ぶ計画立ててるんだけどー」

「あー…わたしはパス」

「そっか…勉強だもんね」

「えー1日くらい駄目なのおー?夏もれんげはどっかの誰かさんとイチャイチャして遊べなかったしー」

「その件はごめんって」


 ていうか、まだ引きずってたのね、そのこと…。


「んーでも、たまには息抜きしないとだから、1日くらいなら大丈夫かも。勉強の進行状況と相談するから、冬休み中また連絡して」

「わかった!期待してる!」

「はは、それはちょっと困るなあ」


 結局、みんなで遊ぶ日付は3人で決めてもらって、その日のちょっと前に連絡してもらって行けそうなら行く、ということになった。三年になってからは、確かに遊ぶ回数も少なくなったなあと思う。本当は、わたしだってみんなと遊びたいのだ。


「じゃあ、良い冬休みを!」

「良い受験ライフを!」

「なにそれ?」

「応援メッセージ」

「ありがと、頑張るね」


 もう暗くなろうとする空をみながら、わたし達は別れた。いつもの、分かれ道で。みんなとこうして帰れるのも、あと少しなんだと思うと、少し寂しくなった。

 その時、携帯がふるえた。


『今すぐ上田駅来て』

「えっ?」


 出るなり用件だけ素早く話すと、すぐに電話を切ってしまった。しかも相手は佳主馬。今すぐって、どうして?今佳主馬がこっちに来てるの?
 半信半疑のままわたしはバスへ飛び乗った。


「侘助さん?うん、わたし。佳主馬が来てるかもしれないから上田駅に迎えに行ってくる。……何でそんなこというのよ、来てなかったらって、佳主馬がそんなイタズラ電話する訳ないじゃない!…お金?うん、大丈夫。帰ったらもらうかも。うん、いってきます。ありがとう」




130113


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